成田空港に怒号…“6年ぶり”やぐらの撤去など強制執行 空港反対派「機動隊は帰れ!」抵抗も
15日夜、成田空港の敷地内に反対派が設置した「やぐら」の撤去などの強制執行が行われました。空港反対派に対する強制執行は約6年ぶりです。「強制執行をやめさせろ」など怒号が響き渡り、デモ隊が腕を組んでバリケードをつくるなど現場は騒然としました。
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千葉県にある成田空港の敷地内で15日、旅客機が近くを飛ぶ中、空港反対派が集まり、「強制執行をやめさせろ」「実力ではね返すぞ」などと声を上げる様子が見られました。
空港反対派は、滑走路の近くの土地に、やぐらや立て看板を設置するなどしています。15日、千葉地裁の強制執行で撤去される見通しになり、抵抗のため集結したのです。
そして、午後8時ごろ、千葉県警の機動隊が現場に到着。機動隊と空港反対派のデモ隊がにらみ合い、「機動隊は帰れ!」など怒号が響き渡ります。デモ隊が腕を組んでバリケードをつくり、土地に入れないようにするなど、現場は騒然としました。
成田空港側が、やぐらの撤去や土地の明け渡しを求めた裁判では、去年9月、東京高裁が成田空港側の主張を認めました。さらに、東京高裁は判決の確定前に強制執行ができる「仮執行宣言」を付けていて、15日夜から強制執行が行われたのです。
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成田空港は1978年に開港しました。土地の強制収用などを行って建設を進めようとした国と、建設に反対する地元住民らとの間で長年、対立が続いています。
今回、2017年以来、約6年ぶりに行われた反対派に対する強制執行。やぐらの撤去などが行われたのは「B滑走路」の近くの土地です。この土地などを反対派が占拠しているため、滑走路につながる「誘導路」が「への字」型に曲がっている要因となっています。
空港側によると、「誘導路」は直線の方が円滑で安全に運航でき、パイロットの負担も軽減できるといいます。
16日午前4時半ごろ、空港反対派は「機動隊は家に帰って家族に謝れ!」などと叫び、やぐらの上にのぼって抵抗を続けていましたが…やぐらの上にいた男性が機動隊員に取り押さえられました。
しかし今回、強制執行が行われた土地以外に、現在も空港の敷地内には反対派の用地が残っていて、誘導路の直線化までに、まだ時間がかかるなど影響が続いています。