ポイ捨てマスクの“誤飲”増加 散歩中の犬やウミガメにも…
道路などにポイ捨てされたマスクを、散歩中の犬が誤って飲み込むトラブルが増えているといいます。さらに、岩手県の沿岸で捕獲されたウミガメの排せつ物からマスクが確認されたことが、世界で初めて報告されました。
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16日、東京の繁華街。路上や植え込みにあったのは不織布のマスク。約1時間で5枚のマスクが落ちているのを確認しました。
主婦(40代)
「子供が触っちゃったりするのも不衛生なので、ちょっと困ります」
医療関係者(20代)
「(ポイ捨ては)環境的にも悪いですし」
こうした声がある中、驚きの報告がありました。
東京農工大学 福岡拓也研究員
「フンから不織布マスクが発見された」
東京農工大学と東京大学の研究グループは、岩手県沿岸で網にかかっていたウミガメの排せつ物から、“不織布マスク”を確認したのです。ウミガメによるマスクの誤飲は、学術的な報告としては、世界で初めてだということです。
海に浮遊している、プラスチックゴミを捕食することがあるというウミガメなどの海洋生物。新たに海への流出が増えているのが、使い捨てのマスクだといいます。
福岡研究員
「(ウミガメが)のみこんだマスクとは別の(市販)マスクにおいて、紫外線吸収剤が検出される結果となった」
研究グループによると、マスクの中には、体内に入ると生体に影響を及ぼす可能性のある物質も混ざっているということです。
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さらに、マスクのポイ捨てなどの影響は散歩中の犬にも及んでいました。
飼い主
「やはり(マスクが)落ちていると嗅ぎに行っちゃいます。すごい勢いで止めます」
「拾って片付けたい気持ちもあるんですけど、(犬を)近づけないようにはしますけど」
散歩中などに道ばたで犬がマスクを誤飲することが増えているといいます。
犬や猫のマスク誤飲が数か月に1回程度あったという動物病院では、新型コロナの流行以降、毎月おきているといいます。
熊谷夜間救急動物病院 小吹貴之院長
「物理的に腸に詰まってしまう。途中で閉塞してしまうと手術が必要になったりするので」
そのまま放置すると、命にかかわる可能性もあるため、飼い主が気をつけてほしいということです。
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こうした中、不適切に捨てられてしまうマスクを少しでも減らせるようにはじまったのが、マスクの適切な廃棄を呼びかけるマークです。
全国マスク工業会 横井昭会長
「適切な廃棄を心がけましょう、というマーク。もうひとつ、ポイ捨てしないでくださいという、2つのマークで構成されている」
去年の7月以降販売されているマスクのパッケージに表示されているということです。
いまや感染対策にかかせないマスク。捨て方についても配慮が求められます。