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田村淳×辻愛沙子4 2人が振り返る衆院選

2021年12月31日 11:09
田村淳×辻愛沙子4 2人が振り返る衆院選

ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんとクリエイティブディレクターの辻愛沙子さんの対談をお送りするUpdate the world。田村さんはこれまでさまざまな場で、「選挙へ行こう」と呼びかけを行ってきた。発信し続けることの意義とは。

■社会を変えるには、選挙しかない

10月の衆院選特番で「Update the world」が行ったディスカッションでは、「親ガチャで人生決まるのハードすぎでは?」「女性議員は、なんで増えないの?」など、10代20代からリアルなギモンが寄せられた。田村さんも「『お金がないのは自分のせいですか?』という声が出ること自体、すごく苦しい」とコメントする。コロナ禍の影響もあって、貧困問題が深刻になっている現代社会。これを変えるためには、選挙で意見を届けることが大事だと田村さんは語る。

田村
「ギモンの声を多く届けるには、選挙という形しかかないと思います。だから僕は普段から『選挙に行こう』と呼びかけています。先の衆議院選挙の際は、それを伝えるためだけに、選挙中に街宣車を使おうと思いついたんですよ。でも調べてみると、立候補しないと使えないとのこと。ならば『僕には投票しないでいいから、投票所に行ってください』と呼びかけたら、メディアも取り上げてくれるのかなと思ったりして。まあ、レギュラー番組を一度降りなければいけないので、辞めたんですけどね(笑)」


「私も2021年衆議院選挙で特番に司会として参加しました。いろんな学びがあって非常に面白かったんです。改めて学んでみると、政治は連ドラのようだと感じて。どの党がどんな理由で解体して、それが現在のこの党につながっている。そんなストーリーがあるんです。皆さんにも選挙前にこれまでの歴史が簡単に振り返る機会を与えられたらと思いました」

田村
「その解説は誰に頼めばいいんだろうね。テレビに出ているからといって、中立の信頼できる解説者であるとも限りません。難しいところですよね。僕も政治のことについて発信すると、すごく攻撃されるのでいつも悩んでいました。最近ではオンラインコミュニティで心理的安全性の保たれた場で議論しています」


■政治でも、まずは一歩踏み出す

同性婚、選択肢夫婦別姓の問題については、なぜ実現しないのか、田村さんもずっと疑問を抱いているという。

田村
「以前、ニュージーランドの国会議員が『この法案が通っても、あなたには何の不利益もありません。なぜ通せないのか』と答弁して、拍手が巻き上がったんです。まさにその通りだと思います。

政治の世界で、トライアンドエラーを減らしたいのは分かります。でも、失敗から学ぶこともあります。抵抗のある人にばかり寄り添っていても、何も生まれません。一歩踏み出してみて、『実は大丈夫だったでしょ』となることは、企業でもよくあるはずです。政治でも必要だと思いますね」


「たしかに、携帯電話がスマートフォンになってボタンがなくなったときは『無理だ』と思いましたけれど、今は誰もそんなこと言わないですよね。変わることを受け入れるのが、個人単位でも社会単位でも大事なんでしょうね」

女性議員については、田村さんから辻さんへ質問が寄せられた。

田村
「女性議員の割合を決めて選挙するべきという意見もありますよね。辻さんはどう思いますか?」


「数値目標を立てることが大事だと思っています。人間は、見たことがないものを想像できません。小学校で『総理大臣の絵を描いてください』と言ったら、おそらくほとんどの児童が背広を着たおじさんを描くと思います。まだ一度も女性の総理大臣が誕生したことがありませんから。女性がなっても当たり前なんだよという世界を見せることが第一歩だと思います。そのためにもまず、分母を増やす必要がありますね」

田村
「ただ単純に『まずは女性議員を増やしてみませんか?』という話なんですよね。女性議員を増やしてみたら何も起きないかもしれないし、やってみないと分かりません」


「既存のルールに順応している人にとっては、新しいルールに反発もあると思います。短期的な目線で権力者を持ち上げるのを辞めて、幅広い人たちに適応できるルールが必要ですよね」

■地道に声を上げ続ける

前回の衆議院選挙でも、多くの発信をしてきた田村さんと辻さん。最後に、発信し続けることの辛さや重要性について語り合った。


「社会に向き合うと疲れる面もあります。でも、私は発信者として、社会はよりよくなる、人はいつだって学べるし変われると、心の底から信じているんです。信じているけれど、ではどうすれば社会をアップデートできるのか、悩ましく思っています。田村さんはどう思いますか?」

田村
「やっぱり継続だと思います。政治とは関係ありませんが、僕が10年以上言い続けてきたことがようやく実現したことがあるんです。飛行機が着陸したとき、シートベルトの着用サインが消えると、後ろからどんどん人が押しかけますよね。もっと効率よくできないのかとずっと言い続けていたんです。最近は航空会社が前の人から順番に下ろすようアナウンスしていて。僕が言い続けたからかな(笑)」


「なるほど(笑)。

たしかに、地道な積み重ねで変わっていくものですよね。今年は『ジェンダー』が流行語大賞にノミネートされましたが、戦っている人がいれば、変わることがあるかもしれないと思います」

田村
「声の上げ方も重要ですよね。自分の正義のもと、罵詈雑言で罵ると、受け止められません。だから僕は、やさしく伝えるようにしています」


「確かに、飛行機の話にしても、誰か1人が立つから焦ってしまいます。皆が穏やかに座っている状態を作るのが大事であって、そのために座りながら戦うのもありかもしれませんね。短距離走より長距離走というか」

田村
「ペース配分は大事ですね。正直10年くらい言い続けていると、しんどくて。座り続けている自分がおかしいのかなと思ったりします。自分が生きている間にどれだけできるんだろうかと」


「1つ1つをひっくり返すゲームだと捉えてみると、楽しめるかもしれませんね」

政治や校則、ペットなどさまざまな問題について話す二人の視点には、価値観をアップデートするヒントが詰まっていた。

 ◇

この記事は、2021年12月17日に配信された「Update the world #12 私たちはどうアップデートできるか」をもとに制作しました。
 
■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。

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