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“異例な台風”が目立った2021年

2021年12月31日 12:08
“異例な台風”が目立った2021年

■初の宮城県上陸となった台風8号

2021年7月23日に、南鳥島の近海で発生した台風8号は、日本の東の海上から列島に接近する珍しいコースとなりました。7月27日に千葉県の銚子市の沖合を北上し、28日の午前6時前に宮城県石巻市付近に上陸しました。

東北地方を通る台風は、上空の偏西風の影響を受けて、北東の方向に進むものが多いのですが、この台風8号は北西に進みました。宮城県に台風が上陸したのは1951年の統計開始以来初めてのことで、東北の太平洋側に上陸した台風としても2例目でした。

■初の福岡県上陸となった台風14号

9月6日午後9時にフィリピンの東海上で発生した台風14号は、9月10日の朝9時に「猛烈な勢力」まで発達してフィリピンのルソン島に近づきました。12日には沖縄県与那国島の西の海上を北上したのち、13日から15日頃にかけて、東シナ海で停滞しました。

台風としては勢力を落とし、対馬海峡付近で温帯低気圧にかわるとみられていましたが、その後も勢力を維持したまま東に進み、17日午後7時前に福岡県福津市付近に上陸しました。これまで、長崎県に上陸した台風が福岡県を通過することはありましたが、福岡県に直接台風が上陸したのは、1951年の統計開始以来初めてのことでした。

■発生時にもう「超大型」 台風18号

10月8日午後3時、フィリピンの東の海上で台風18号が発生しました。もともと海水温が高く、台風の発生数が多いエリアですが、台風18号の特異な点は、その“大きさ”でした。台風18号発生時の強風域は、中心から半径950キロの範囲に及んでおり、これは、例えば能登半島沖を中心にして円を描けば、北海道から九州まで包み込んでしまうほどの大きさでした。

台風は通常、発達の過程で勢力が徐々に強まり、強風域が広がっていくものですが、発生の段階で「超大型」とされた台風18号は、極めて異例といえるでしょう(注1)。

フィリピンの東海上の空気は、台風18号の発生前から反時計回りの大きな回転をしていて、その中で、複数の台風の卵が発生や衰弱を繰り返していたのですが、その中のひとつの熱帯低気圧が、台風に発達し、周囲の回転する空気と結びついたものと考えられます。台風18号は、日本列島に接近することはなく、南シナ海を西に進み、ベトナムに上陸して熱帯低気圧に変わりました。

■異例な台風にも注意を

一般的に、被害をもたらす台風は、フィリピンの東で発生し、発達しながら沖縄に近づき、やがて進路を北東に変え、速度を上げながら列島を通過していくものが多いですが、まれに、過去に例のない動きをする台風が発生することがあります。天気予報やニュースなどの気象情報を活用して、備えを万全にすることは大切なことです。

(注1)台風18号のデータは速報値であり、気象庁において再解析が進められています。

*写真:気象衛星ひまわりから見た台風18号