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オミクロン株BA.2「増殖力と病原性はBA.1と同程度」東大医科学研究所の教授ら発表

2022年5月18日 3:37

東京大学医科学研究所の教授らが、新型コロナウイルスのオミクロン株BA.2について動物モデルで調べたところ、増殖力と病原性はBA.1と同程度であることがわかったと17日、科学雑誌Natureオンライン速報版で発表しました。

東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らの研究グループは、マウスとハムスターの動物モデルを使って、患者から分離したオミクロン株BA.2を、新型コロナウイルスの従来株オミクロン株BA.1と比較して、病原性などについて検証を行いました。

その結果、BA.2は、マウスやハムスターののどなどの上気道と気管支や肺などの下気道の部分で増殖するものの、増殖力と病原性は従来株よりも低く、BA.1と同じ程度であることが明らかになったということです。

たとえばマウスでは、肺や鼻での増殖は、BA.1と同じ程度、もしくはやや低く、呼吸器症状の悪化もみられなかったということです。

また、ハムスターでは、呼吸器でBA.1よりも増殖はやや低く、肺で軽い炎症がみられたものの、BA.1と同じ程度だということです。

一方、国内でも使用されている新型コロナ治療薬でメルクの「モルヌピラビル」と、ファイザーの「ニルマトレルビル(パキロビッドパック)」、塩野義製薬が開発中の飲み薬の3つの抗ウイルス薬について、ハムスターで効果を検証したところ、いずれの薬でも肺でのウイルスの増殖が大幅に抑制されたことが確認され、「ニルマトレルビル」と塩野義製薬が開発中の薬では、鼻での増殖も抑制することが確認されたということです。

河岡教授らは、これまでBA.2の基本性状は明らかにされていなかったとして、今回の研究結果について「変異株のリスク評価など行政機関の新型コロナ対策の実施の上で重要な情報となる」とし、「今後も、新たに確認されている遺伝子組み換え体の変異株などについても、引き続き検証していく必要がある」と述べています。