自首1時間前に語った後悔…“闇バイト”で受け子の少年 「家族殺す」と脅され
「なぜ闇バイトに手を染めてしまったのか」。特殊詐欺の受け子をしたという19歳の少年が、警察に自首する直前に取材に応じました。少年が語った後悔…。“やめる”と切り出したとき、「家族を殺す」などと脅され、すでに抜け出せない状況だったといいます。
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「特殊詐欺の受け子をやってしまった」という少年が、自首する1時間前、インタビューに応じました。
少年(19)
「闇バイトっていうの、そういうのがあるっていうのは知っていたんですけど」
「それ(自分がかかわったもの)が闇バイトとは知らなくて…」
強盗事件で実行役を担うなど社会問題となっている”闇バイト”。お金に困っていたところ、SNS上の知り合いから、「稼ぎの良い“銀行のアルバイト”」として紹介されたといいます。
少年(19)
「銀行の委託の作業で、お客様のキャッシュカードを預かりに行くみたいな」
「あ、そうなんだ。そういうのがあるんだって」
「今まで3回やりました」
「(報酬は)1日最低保証の1万円と、経費で1万円、みたいな感じです」
朝から指定された駅の近くで待機し、受け子の案件が発生しなければ、夜になると解散。1回目と2回目は、待機しているだけで、それぞれ経費を含め2万円をもらえたといいます。
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しかし3回目は、少年自身が“実行役”になりました。
少年(19)
「『タクシーでここまでで降りて』っていわれて、そのあと住所が送られて。(その家の)ピンポンを押すと、向こう(被害者)が、信じきっているんで。そこで(家の中に)通されるっていう感じですね」
少年は、家に上がると住人のキャッシュカードが入った封筒を受け取ったといいます。
そして「印鑑がいるのでもってきてください」と言って住人が離れると、封筒を別のものと“すり替えた”といいます。その際、少年は「偽の封筒に印鑑を押して、『これは後日、警察が取りに来るんで、保管しといてください』っていう感じで」話したといいます。
すり替えて渡した偽物の封筒には、すぐにバレないよう、“ある仕掛け”がしてありました。
少年(19)
「トランプを3枚固めるとキャッシュカードの厚みになるんですよ」
「それを自分で作って、(偽の)封筒に入れておいて(渡す)」
こうしてキャッシュカードを手にいれると、少年は、指示された公園のトイレに向かいました。
少年(19)
「そこの扉閉めて、“コン、コン、コン”って5回なると」
「僕がキャッシュカードを下から隙間から渡すと、5万円入った封筒と、1万円入った封筒が下から渡される、みたいな感じですね」
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その後少年は、罪悪感から自首を決めたといいます。なぜ「受け子」の“闇バイト”をやめられなかったのか。
少年(19)
「僕がやめます、とか言ったときに、『おまえ調子のんなよ』とか、『お前、家族殺しに行くからな』みたいなこと言われて」
「最初すごい優しい人だったんで、それがひょう変する感じですごい言われるんで、僕もびっくりしちゃって」
少年が“マズい”と思ったときには、すでに抜け出せない状況に。事前に個人情報を渡していたこの少年は「家族を殺す」と脅されたといいます。
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インタビューの後、少年は、支援者に付き添われて警察署へと向かいました。
少年(19)
「やっぱり不安ですね。どうなるのかなとか、勾留されちゃうのかな」
ーーーーどこで気づけるチャンスがあったと思う?
少年(19)
「やっぱり報酬ですかね。なんでこんな高いのか、考えてなかったですね」
少年は、早くおかしいと思うべきだったと後悔を口にしました。「やっぱり引き返したい気持ちはありますね」とする少年は、緊張した表情で警察署に入っていきました。
およそ3時間後、警察署からは、少年の支援者がひとりで出てきました。
少年の支援者
「勾留される形になるということで、一緒には出てこられなかった」
「不安そうな顔してましたね。これからどうなるんだって」ということです。
その後、少年は、名古屋市の70代の男性からキャッシュカード4枚を盗んだとして逮捕されました。