復刻した「古地図」が人気! ツアーやアプリ開発も…その魅力は
デジタル社会が進む中、いま人気を集めているのが、古い時代の地図「古地図」です。古地図を片手に街歩きをするツアーや、古地図に魅せられ、アプリを開発する学生もでてきています。
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2022年、デジタルの時代にあえて“いま復刻”したのが、かつての町並みが刻まれた古い地図「古地図」です。
千代田区 広報広聴課 宮間貴史さん
「区政75周年を企画して作った、千代田区が誕生した昭和22年の古地図」
東京・千代田区は、75周年の記念事業として、区が誕生した1947年当時の古地図を復刻しました。200人分を用意しましたが、15倍以上の約3400人から応募があったといいます。
古地図の魅力とは何なのか、実際に地図を見ながら散策してみました。
宮間さん
「ちょうど九段下の近くのアーミイホールと呼ばれるところで、現在は建て替え中の九段会館の場所になります」
東日本大震災で被害を受け、ニュースになった場所が、実は「軍人会館」だったという事実がわかりました。
――道としてはどのあたり?
宮間さん
「道としては変わってないですし、町並みも当時のままの感じかなと思います」
なぜ、この場所だけは変わらず生き残ったのか想像するなど、町の歴史を知るきっかけにもなるといいます。
でも、こんな古い地図がどうして残っていたのか。それは“世界最大級の本の町”神田神保町がある千代田区だったからです。
江戸時代からの“古地図”を取り扱う、東京・千代田区の「秦川堂書店」が、復刻版のもととなる“古地図”が残っていて、区の役に立てるのであればと提供したのです。
秦川堂書店 永森進悟さん
「千代田区区分図あったと思うのでと、お見せしたのがはじまり。みなさん、おもしろがってみてくれたので」
また、客層にも変化がありました。安いもので500円から購入でき、学生や20代、30代にも人気だということです。
永森さんは「若い方たちが多いですね。新しい発見があったりするので、そこが古地図の魅力かな」と話しました。
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また、“古地図”に特化したツアーも人気になっています。阪急交通社では、コロナ禍で中止していた、古地図を片手に街歩きができるツアーを今年の春から再開しました。リピーター客も多いということです。
次回は、江戸時代の古地図にある「坂」を巡るツアーを、秋ごろに予定しています。
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“古地図”に魅せられ、アプリを制作した人もいました。
横浜国立大学 ぐるり代表 中野賢伸さん(21)
「いま江の島に入ってきて、仲見世通りっていう商店街の通りに来ています」
横浜国立大学の現役学生と、神奈川県の自治体がタックを組んで開発したのが、「GURURI」という地図アプリです。現代のマップからボタン1つで“タイムスリップ”。“古地図”にデジタルの便利さを搭載したスマホ専用アプリです。
その機能は――
中野さん
「いま(江島神社)辺津宮になるんですけど、地図上にも登録されていまして」
地図上にある辺津宮の表示を押すと、「源実朝が鎌倉幕府の繁栄を祈って創建しました」と、音声ガイダンスで訪れた場所の情報を聞くことができました。神奈川県の歴史遺産をより身近に感じることができます。
中野さん
「今は(古地図)テイストなんですけど、昔にタイムスリップしたみたいな気分で、ある種、勉強しながら観光できるとより楽しいかなと」
今後は、一部に本物の古地図を取り入れていきたいということです。