×

【解説】“熟年離婚”最多 大切なのは愛情?お金?…究極の二択

2022年8月25日 22:03
【解説】“熟年離婚”最多 大切なのは愛情?お金?…究極の二択

厚生労働省の調査で、“熟年離婚”の割合が過去最多になったことがわかりました。結婚生活で大切なのは“お金”でしょうか、“愛情”でしょうか。

◇結婚20年以上でナゼ?
◇離婚率1位はどこの都道府県か?
◇男女で違う理由

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。

   ◇

■“熟年離婚”過去最多に 全体では約3組に1組は離婚

厚生労働省によると、2021年の離婚件数は18万4386組(概数)で、だいたい3組に1組は離婚していることになります。

離婚の件数自体は2000年ごろから減っていますが、婚姻の数もだんだん減っていて、21年は50万組ほどで前年より2万組以上減っています。婚姻件数も減っているので、割合でみると、離婚件数が減っているわけでもなさそうです。

ただ、今回の調査では、熟年離婚する人の割合が増えていることがわかりました。

2020年離婚した人のうち、「同居を何年したあとに離婚したのか」を見ると、最も多いのは“5年未満”ですが、注目すべきは“20年以上”です。今回は21.5%と過去最多となり、熟年離婚が年々増えてきているということがわかりました。

■離婚を考えたことがある? 街の声は…

では、離婚を考えたことがあるか。街で聞いてみました。

結婚7年 自営業の女性(30代)
「熟年層になってまで一緒にいなくてもいいかな、みたいなことは思ったりはしますね」

結婚約30年 専業主婦(50代)
「(離婚しなかった理由は)経済的な問題が…が一番大きいかも。働いてないですし、あと、子供が2人いるので、離婚したら普通に会えるのかなとか、家族の問題が大きいですね」

結婚45年 デザイナーの男性(70代)
「女性の方が我慢してくれてると思う。こっちの我慢ではない」

いろいろな意見がありましたが、「離婚を考えることもある」という人も多かったようです。

■離婚が一番多い都道府県は? ある県がダントツ

また、都道府県別でみた離婚率(厚生労働省統計)も公表されました。

人口1000人あたりの離婚件数は沖縄が2.36と、ダントツに多い数字でした。東京はというと、ぐっと下がって、真ん中あたりの23位でした。一番、離婚件数が少なかったのは新潟でした。

どうしてこのような順位になったのか、分析は出ていませんが、それぞれ地域によって地域性を反映しているのかもしれません。

■離婚の原因は? 男女で違う理由も

そこで気になるのは、どのような離婚原因が多かったのかについてです。司法統計によると、2020年に離婚などの裁判を起こした夫妻で多かった原因には、妻と夫で違いがみられます。

夫、妻ともに1位は「性格が合わない」でした。その他の理由も、「精神的に虐待する」や、「異性関係」と、夫と妻で同じ理由がランクインしています。一方で、夫の5位は「家族親族との折り合いが悪い」と人間関係による理由、妻の2位は「生活費を渡さない」という経済的理由で、まったく違う理由が入っていました。

■大切なのは愛情か、お金か…男女で答えに差は

一方で、結婚生活で大切なのは「愛情」か、「お金」かを聞いたアンケートもあります。

答えは、男女ともに「愛情」「お金」、ほぼ半々になり、男女で差はありませんでした。しかし、「お金が大切」と答えた人にその理由を聞いたところ、男女間で、考え方に“微妙な差”が見えてきました。

男性で目立ったのは「夫婦関係や家族を守るために、お金が必要だ」という意見です。
「お金がないと、心にゆとりが生まれず、『愛情』も欠ける」
「『老後』になって頼れるのは、やはりお金」
「経済的基盤があってこそ、2人の関係が安定」

一方、女性に聞いてみると、「愛情が冷めたあとも、夫婦関係をつなぎ止めるものがお金だ」というイメージでした。

「若い時はイケメンでも、年をとれば“好き”はなくなるので、尊敬できるのは“稼ぎ”」
「次第に愛情はなくなり、お金の有無が関係継続に影響する」

ただ、「愛情が大切」と答えた男性の理由をみてみると――

「好きならその人のために頑張れる」
「お金があっても、愛情がないと人生楽しくない」

そして女性も――

「好きな人となら、辛い時も何とか頑張れそう」
「愛されるのが、一番の幸せ」

男女ともに、愛情があってこその夫婦関係だという点では、考え方にあまり大きな違いは見られませんでした。

   ◇

離婚をめぐる考え方について、いろいろと見てきました。人生100年時代、さまざまな価値観が受け入れられ、生き方や働き方が多様化しつつあります。そんな時代だからこそ、人生の後半戦を自分らしく充実して過ごすために、第二の人生を踏み出す人も増えているのかもしれません。

(2022年8月25日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)