思い出詰まった「30円コロッケ」 地元で愛された精肉店…惜しまれつつ閉店へ
創業58年、地元で愛された精肉店が31日に閉店します。利益よりも大切にしてきたのはお客さんの笑顔。1個30円のコロッケには多くの人たちの思い出がつまっていました。
路地裏をのぞくと…
記者
「うわ、すごい行列ができています」
この長い列が愛されてきた何よりの証し。埼玉県草加市にある精肉店「肉のやまだ」です。
約15年通う地元の客(20代)
「自分が小さいころからあったのでよく通っていました」
約30年通う地元の客(60代)
「(孫に)『何が食べたい?』『やまだ』って言うの。かわいいでしょ。大皿に出すと『やまだのコロッケだ~』って」
地元の人から愛され続けて58年。人気の秘密は味だけでなくその安さ。物価高の今でもサクッと揚げたメンチカツは1枚80円。やさしい味わいの手作りコロッケは、なんと30円です。
妻 好子さん(78)
「もうからなくたっていいんだよ」
大将 山田奨さん(81)
「子どもらのために(値段は)あげられない。高校生がみんな…」
妻 好子さん
「みんな高校生が夕方来るんだから」
子どももお小遣いで買えちゃう“愛情価格”
お店の味を守るのは、大将の山田奨さん(81)と妻の好子さん(78)。1966年に創業し、当時から変わらぬ味と価格で多くの人の胃袋と心を満たしてきました。
それなのに…
大将 山田奨さん
「もう疲れたからな。こうやって物が拾えないから」
妻 好子さん
「本当はピリオド打ちたくなかったけど、今回しょうがないね」
体力の限界と後継者不足が重なり、今月いっぱいで58年続く歴史に幕を下ろすことを決めました。
20年以上通う常連客
「ここの合いびき肉じゃないと私のハンバーグできないので、どうしよう…悲しい…」
50年以上通う常連客
「一言じゃ言い表せない」
「なくなっちゃうって聞いた時の喪失感」
「思い出だもんね」
あと少しで食べられなくなる味を求めて続々と訪れる常連客。
「なくなると聞いて、さみしくて来ちゃいました」
妻 好子さん
「本当、ありがとう」