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温暖化で「台風10号」強力に?……最大風速、7.5%UPか 襲来確率は26%増 今できる“10の行動”【#みんなのギモン】

2024年9月3日 10:32
温暖化で「台風10号」強力に?……最大風速、7.5%UPか 襲来確率は26%増 今できる“10の行動”【#みんなのギモン】
各地に甚大な被害をもたらした台風10号。これほどの勢力になった要因の1つに、温暖化があった可能性があるとの分析結果が示されました。

台風に限らず災害を激甚化させるとされる温暖化を止める上で、個人でできる行動にはどんなものがあるのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「気候変動で台風増加か なぜ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●台風10号“温暖化”で勢力強まる
●温暖化すすむと さらに…

■岐阜で…床上・床下浸水など100棟

鈴江奈々アナウンサー
「各地に甚大な被害をもたらした台風10号。1日の正午には、熱帯低気圧に変わりました。猛烈な風が吹き、九州・四国・東海などで記録的な大雨となりました」

「台風10号が今回のような勢力にまでなったのには、気候変動の影響があった可能性があるという分析結果が公表されました」

「被害があった地域では2日も復旧作業に追われていました。大雨の影響で広い範囲にわたり多くの家屋が浸水した岐阜・池田町では、被害を受けた人たちが片付け作業をしていました。居酒屋の人は『畳とか冷蔵庫とかがだめになりましたね』と話しました」

「岐阜県では2日朝までに住宅の床上・床下浸水などの被害が合わせて100棟確認されています」

■枕崎では「災害ごみ」が山のように

鈴江アナウンサー
「また今回の台風で最も強い風を観測した鹿児島・枕崎市では、市が設けた災害ごみの仮置き場の前には、朝から車の渋滞が起きていました。台風の影響で壊れた屋根などを軽トラックに載せて持ってくる方が多くいて、家財道具などが山のように積まれていました」

山崎誠アナウンサー
「私は先週九州に入り、家が浸水したという方に話を伺いましたが、家の中に加えて庭などにも泥が散らばり、積んでいた薪も水で流されていました。家の中はもちろんのこと、それ(の片付け)が終わってから、他の所もやらなければならないということでした」

「1か月くらいはかかるのではないかという話で、費用・時間・労力など、雨がやんだから終わり、水が引いたから終わりではなく、影響がその後も残るんだなと痛感しました」

■全国で7人死亡、126人がけが

斎藤佑樹キャスター
「台風の影響で全国各地で交通機関の乱れも発生しましたから、その辺りも心配ですね」

鈴江アナウンサー
「台風10号では各地で河川の氾濫や土砂災害が発生しました。1日午後1時半時点のNNNのまとめでは、愛知で3人、徳島で1人、福岡で2人、佐賀で1人と合わせて7人が亡くなり、鹿児島では1人が行方不明になっています。けが人は126人となりました」

■枕崎の最大瞬間風速は51.5メートル

鈴江アナウンサー
「今回の台風は8月29日に鹿児島県に上陸し、九州・四国を通過。再び太平洋に出て、近畿・東海地方へ接近し、迷走しているとも言われました。さらに、速度が非常に遅かったことから影響が長期化しました。台風から離れた場所でも局地的な大雨となりました」

「今回の台風はどれほどの勢力だったのか振り返ります。最も強い風を観測した枕崎市では、最大瞬間風速は51.5メートルに達しました。これは猛烈な風で走行中のトラックが横転するような強さです」

■天城山では平年の2.3倍の大雨に

鈴江アナウンサー
「雨に関しては、台風が日本に近づいた8月27日から9月1日午前11時までに、静岡・伊豆市の天城山で942ミリの雨が降りました。これは8月1か月分の降水量平年値の2.3倍にあたります。宮崎・えびの高原では同期間で911ミリに達し、これは同平年値の1.6倍です」

「さらに8月28日から31日にかけて鹿児島・宮崎・大分・香川・徳島・兵庫・三重の7県で線状降水帯が発生し、大雨に見舞われました」

森圭介アナウンサー
「多発するゲリラ雷雨は、私が小さい頃とは違うフェーズに入ってきているなと思います。今回の台風10号も近年稀に見る台風でした」

■イギリスの研究チームの分析結果は?

鈴江アナウンサー
「これほどまでに台風10号の勢力が増した要因の1つとみられるのが、温暖化です。イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームによると、台風10号のリアルタイム分析によって、気候変動が台風10号をより強力にしたことが確認されたといいます」

「台風10号の最大風速は、温暖化の影響で7.5%強くなった可能性があるということです」

■気候変動で4.5回→5.7回に増加か

鈴江アナウンサー
「さらに温暖化など気候変動の影響がないと仮定した場合、10年間で台風10号クラスの台風は約4.5回発生すると予想されますが、それが気候変動によって約5.7回に増加。つまり今回のような台風が日本を襲う確率が、気候変動で26%高まった可能性があるといいます」

河出奈都美アナウンサー
「数字に表れているのを見ると、温暖化の影響は確実に災害という形で自分たちに返ってきているのではないかなと感じますね」

斎藤キャスター
「温暖化は日本だけではなくて世界規模で影響を及ぼしているのも心配です」

■温暖化がすすめば災害「激甚化」

鈴江アナウンサー
「温暖化の影響は台風だけではありません」

「気候変動に詳しい東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授によると、猛暑・ゲリラ雷雨・干ばつといった自然災害の発生にさまざまな形で影響します。このまま温暖化がすすめば、災害はどんどん激甚化していくと指摘します」

「温暖化の主な原因は、私たちの生活から排出される温室効果ガス。温暖化を防ごうと、世界各国が温室効果ガス削減のための目標を立てていますが、2030年までの目標を達成できたとしても、世界の平均気温は産業革命以前と比べ2.5℃以上上昇すると言われています」

「温暖化の対策は本当に待ったなしの状態だと、江守教授は訴えています」

■国連などが挙げる「10の行動」

鈴江アナウンサー
「何ができるのでしょうか。大きな話になるとついていけない部分もありますが、国連などは今すぐ個人でできる10の行動を挙げています」

「近い距離を車で移動するのではなく徒歩や自転車で移動する、公共交通機関を使ってみる。暑い時はエアコンを使っていただきたいですが、できる範囲で節電してみる」

「リデュース・リユース・リペア・リサイクルで、すぐに物を捨ててしまわない。他に、野菜をもっと多く食べる、長距離の移動手段を考える、家庭のエネルギー源を替える、電気自動車に乗り換える、環境に配慮した製品を選ぶなどもあります」

■世界で「人類の大問題」を話し合う段階

鈴江アナウンサー
「これならできそう、というものはありますか?」

斎藤キャスター
「お肉が好きなので、野菜をもっと多く食べることなどですかね」

鈴江アナウンサー
「お肉を食べないと決めなくても、ちょっと野菜を食べる量や回数を増やすだけでも変わるかもしれませんね」

森アナウンサー
「これらを100%いきなりやるのは難しいかもしれませんが、自分の生活の10%、あるいは5%変えてみるだけでも、世界で広がりを見せればかなりの量になります」

「この10の行動は、子どもが学校で習っています。今の子どもたちが大人になる頃には『こんなの当たり前じゃん』という世の中が来ているかもしれません。その時に、恥ずかしい行動をしない大人でいなければけないなと思います」

「こういったことが広がっていくと温暖化のスピードを少しでも抑えることができるかもしれないなと思います」

鈴江アナウンサー
「完璧にやろうと思ってできる人はいないと思います。できることをコツコツと、ですね。江守教授は『温暖化というのは人間が起こしていることなので、人間が止められる』と言います」

「世界中の人たちがみんなで協力して初めて止められる。その話し合いは今まさに行っていて、人類の大問題を協力して(解決に向けて)進めていきましょうという段階であることは是非知ってほしいと、江守教授は力を込めていました」

「温暖化を止めるという取り組み、大きな話かもしれませんが、できることを1つ1つ積み重ねていきたいなと思います」

(2024年9月2日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

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