コロナ後遺症でも「怠けているだけでは」……“無理解”深刻、休職・失職も まともに治療しない医師も5類移行1年で変化は?
新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行し、8日でちょうど1年となりました。飲食店はどう変わったのか、東京・新橋で取材しました。感染者から多く相談が寄せられているのが後遺症で、さまざまな問題が起きています。医師らに現状を聞きました。
藤井貴彦キャスター
「8日の東京駅前の映像があります。マスクの着用率をAIで解析し、1年前と比較。去年の5月8日は71.9%で今年は 34.7%でした。新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行して8日で1年になりました」
「いろんな変化がありましたが、何かありましたか?」
板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー)
「現場に入る前に検温したり、体調を報告したりするのが僕の周りでは当然でしたが、なくなりました。スタッフさんが出演者のマスクを管理するということもなくなりました。そう思うと、変わっていったんだなと感じます」
山本里咲アナウンサー
「東京・新橋の飲食店が立ち並ぶ通りでは8日夜、明かりがついて営業している店が多くあります。飲食店の従業員はマスクを外している方が多かったです」
「『zero』で2022年のコロナ禍に取材した焼き鳥店「山しな」で、夜9時すぎに話を聞きました。コロナの間は要請に従って営業を続け、パーテーションなども当時はついていましたが、今は外してコロナ前のように営業していました」
店主
「コロナ前に比べれば、お客様の飲み方、出勤の仕方も変わってきたので、新しい形で1年間やってきたかなというのがありますね。時間制限があったりとか、ああいうのは二度とやりたくないですよね。普通に商売したくてお店をやってるのに…」
山本アナウンサー
「この店ではコロナ前は午後11時半まで営業していましたが、今では午後11時に閉店時間を早め、その分、30分早い午後4時半に店を開けるようにしました」
山本アナウンサー
「別の飲食店に聞くと、まだ客足はコロナ前の7~8割までしか戻っていない、コロナを理由にしたキャンセルがあるなど、1年たった今もコロナの影響が続いているという話も聞かれました」
藤井キャスター
「厚生労働省のデータによる感染者数(定点)のグラフを見ると、5類になってからも、去年の夏やこの冬に波が来ていました。全体としては感染者数は減ってきていますが、ゼロにはなっていないという状況ですね」
「そうです。誰でもかかりうる病気であるということは変わっていません。中でも相談が多いのは、感染した人の約1~2割にあるという後遺症です」
「コロナ後遺症外来を設置し、毎日100人以上を診ているヒラハタクリニックの平畑光一院長によると、20代~40代の患者が全体の約半分で、一番多い症状は倦怠感です」
「記憶力などが低下する『ブレインフォグ』を訴える患者も多く、中には4年以上通う30代の女性もいるといいます」
小栗委員長
「さらに問題だと指摘されているのが、後遺症に対する無理解です。医師の中でさえ、『うつになっているだけ』『家で寝ていれば治る』などと言い、まともに治療してくれないケースもあるといいます」
「平畑院長のクリニックではこれまで、診察した3822人の患者のうち2004人が休職したり職を失ったりしたといいます。職場では後遺症と信じてもらえず『怠けているだけではないか』と言われた人もいたそうです」
藤井キャスター
「これだけの現状があるにもかかわらず、つらいのに理解されないという患者さんは、寂しい、つらい思いをされていますよね」
小栗委員長
「東京都の新型コロナ後遺症タスクフォース座長を務める小坂健教授は『後遺症がある人が水面下に潜り、放っておかれてしまっている』と指摘しています」
「さらに小坂教授は『国や自治体が組織的に患者や医療機関をつなげて支援すれば、患者にとっても支えになるし、データの蓄積もできて有効な治療法が見つかりやすくなる』と話しています」
板垣さん
「後遺症は、陽性・陰性のように結果が出るものではありません。本人にしか分からないからこそ、無理解というのは余計につらいですよね」
藤井キャスター
「骨折すればみんな『大丈夫か』と心配すると思います」
「例えば新型コロナの後遺症の可能性があるという診断が、患者の周りにいる人の理解につながるかもしれませんし、その診断のためのデータの蓄積が大切だと思います。理解の前提を作ることも今は大事ではないでしょうか」
(5月8日『news zero』より)