新型コロナ後遺症の女子高校生 病気と理解されず心ない言葉も…卒業を控えた暮らしは
2年前に首から下が突然動かなくなったという女子高校生。新型コロナの後遺症と診断されるまではあらぬ誤解を受けたといいます。高校卒業を控えたいまを追いました。
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長野県に住む山田さん一家。長女の幸奈さん(18)は首から下が自由に動きません。お参りで手を合わせることもできなくなりました。
幸奈さん「早く、少しずつでも動けるようになりたいと願いました」
高校3年生の幸奈さん。1日の大半をベッドの上で過ごしています。幼いころから発達障害がありましたが、穏やかな日常が一変したのは2022年9月。新型コロナウイルスに感染してからです。40度近い高熱が続いて肺炎を併発し、入院しました。
感染直後から倦怠感や息苦しさ、味やにおいを感じなくなるなどの症状が現れ、姿勢を保つことさえ難しくなりました。
当時、病院の検査では異常が見つからず、県などにも相談しましたが、同じような症例は把握していないと言われたそうです。
幸奈さん「(病院で)気の持ちようとか、甘えているとか、赤ちゃん返りしているとか、いっぱい言われてつらかったし、1年以上動けないからもっとつらい」
そんな時、東京にいる専門医の存在を知り、リモート診察を受けることができました。診断結果は、新型コロナウイルスによる後遺症でした。
ヒラハタクリニック・平畑光一院長「全身になかなか力が入らないという状況なので、症状としてはかなり重い方」
普段はリモートで授業を受けていますが、月に3日ほどは登校しています。以前は、電車で通っていましたが、今は、母の送り迎えがなければ通えません。
幸奈さんの母・笑子さん「こんな形だけど、ちゃんと学校生活として楽しみを持ってくれているので、それがはりあいですよね」
学校に到着すると、いつも担任の先生と同級生たちが迎えに出てくれます。中には、福祉を学んでいる生徒もいて、幸奈さんを介助してくれます。
この日は、世界史の授業。幸奈さんは鉛筆を握ることもできないため、隣で母の笑子さんがノートを取ります。以前は当たり前だった友達と一緒に受ける授業。今の幸奈さんにとっては貴重な時間です。
幸奈さん「私みたいに後遺症で悩んでいる人たちが周りのみんなからも理解されていったらいいなと思う」
後遺症と闘う人たちに寄り添う世の中が広がっていくことがいま、求められています。