政府が“中間貯蔵施設”用地の国有化断念
福島第一原発の事故による除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設について、政府は、用地を全て買い上げて国有化するこれまでの方針を転換した。
石原環境相「本日現時点でとりまとめられる最大限のものを県・町の皆様方にご提示させていただきたいと考えております」
政府は、除染で出た土壌などを保管する「中間貯蔵施設」を福島県の大熊町と双葉町に建設する計画で、自治体に受け入れを求めている。
28日、石原環境相らが福島・佐藤県知事や、大熊・双葉両町長と面会し、用地取得の方針などを伝えた。政府は当初、建設用地を全て買い上げて国有化する方針だったが、住民の反発が大きいことなどから、今回示された方針では、所有権を地権者に残したまま政府が長期間用地を使用できる「地上権」も設定し、地権者が選べることにしている。
また、30年以内の県外最終処分については、自治体が施設を受け入れる判断をした段階で、法案を閣議決定したうえで、国会に提出し、法律が施行されるまで土壌などの搬入は行わないことにしている。こうした点について、大熊・双葉の両町長は一定の評価をした。
一方、政府は、生活再建や地域振興に関わる補償や交付金などの具体的な額は提示しなかった。
大熊町・渡辺利綱町長「生活再建策とか交付金については、具体的な提示はありませんでしたし、その辺はまだまだ協議を続けていく状況」
双葉町・伊澤史朗町長「具体的な(交付金の)規模感は示されていないので、今後、協議をしながら判断していきたい」
政府は今後も引き続き、地元自治体と協議を重ねることにしている。