岩手県知事「自治体負担拡大、極めて残念」
復興庁は12日、東日本大震災の復興財源について、来年度から被災した自治体にも一部、負担を求める方針を発表した。この方針に、国が全額負担する「集中復興期間」の延長を求めていた岩手県などの各自治体は反発している。
竹下復興相「(復興財源の)原資は国民の資産であるということに、もう一回思いを致して、しっかり対応したい。そういった観点から、一部、地方負担を導入させていただきたい」
国は、今年度までの5年間を「集中復興期間」として、事業費を全額負担してきたが、12日に発表した中間とりまとめで、「復興と直接関係ない事業にも使われてきた」「緊急性や必要性などを精査すべき」と総括した。
そして、来年度からの5年間を「復興・創生期間」と位置づけ、高台移転や、福島第一原発関連の事業は引き続き国が全額負担する一方、地域振興や防災などの事業は被災した自治体にも一部、負担を求めるとしている。
被災した自治体では、「集中復興期間の延長」や「財政支援の継続」を求めていて、先月23日には岩手など4県の知事が政府に要望を行った。
来年度からの5年間に必要な復興事業費を2兆2000億円と試算している岩手県。達増知事は12日午後に急きょ開いた会見で、政府の方針は極めて残念だと述べた。
岩手県・達増知事「これまで集中復興期間の延長、現在の財政支援措置の継続を求めてきたわけで、集中復興期間を延長せずに、今まで行っていた事業を新たに分類して、自治体負担拡大の考え方が盛り込まれたことは極めて残念である。今の復興の実態と被災自治体の財政状況をふまえれば、復興を加速させるためには、むしろ国の支援を厚くするべきという方向の見直しもあるべきで、そういうところをこれからきちんと伝えていきたい」
一方、被災地では…。
陸前高田市・戸羽市長「全国民の税金を使わせていただいていることは、肝に銘じなければいけないが、被災の度合いが小さく、早く復興が進んだ所は、今まで国のお金で100パーセントみていただいて、我々のようにそこまでたどり着けなかった所は、自己負担ということにもしなるなら、まだ中身は精査していないが、そういうこと(自己負担)だとすると、なかなか納得いかない」
陸前高田市民「一概に期間や事業の量で決めるのではなく、各地区に合ったキメの細かい支援や政治を求めたい」
政府は自治体からの意見もふまえ、来月末までに最終的な方針を決めることにしているが、各自治体は厳しい対応を迫られることになりそうだ。