世界初、ISSで保存の精子からマウス誕生
国際宇宙ステーション(=ISS)で長期保存した精子からマウスを誕生させる世界で初めての実験に、山梨大学の若山清香特任助教が成功した。
実験は、山梨大学が宇宙放射線が哺乳類の生殖細胞に与える影響を調べるため、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で9か月間保存したマウスの精子で行われた。山梨大学は今年5月に精子を地上で回収し、30日、若山清香特任助教が世界初のマウスを誕生させたと発表した。
山梨大学生命工学部・若山清香特任助教「生まれてよかった。生まれてなかったらすごく怖かった。宇宙に行って全く生まれなかったら、この実験がストップするので安心した」
宇宙での哺乳類の生殖に関する研究は、ほとんど研究が進んでいないということだが、若山助教の夫で山梨大生命工学部・若山照彦教授が開発した精子をフリーズドライする技術を使い成功につなげた。これまでに57匹の健康なマウスが生まれ、宇宙放射線の影響は確認されていない。
若山照彦教授「僕らは人間が宇宙で繁殖されるか知りたいが、今回JAXA(=宇宙航空研究開発機構)に採択されたのはフリーズドライ精子なので、今後、家畜や牛が(宇宙で)つくれそうだと言えるようになった」
日本実験棟「きぼう」の内部には現在もマウスの精子が保存されていて、山梨大学は今後2年から3年保存した精子を使って実験し、遺伝子の変異などがないか研究する。