拉致被害者・市川修一さんの父・平さん死去
拉致被害者・市川修一さんの父・平さんが4日午後、療養していた鹿児島県鹿屋市内の特別養護老人ホームで亡くなった。平さんは拉致被害者家族の中で最高齢の99歳だった。
平さんは2010年11月に脳梗塞を患い、ここ数年、自宅近くの特別養護老人ホームで療養していた。修一さんの兄・健一さんによると、平さんは先月初旬、体調を崩し、食事をとれない状態になっていたという。先月25日には血圧が低下して意識を失い、4日昼過ぎ、健一さんが見守る中、静かに息を引き取った。平さんは拉致被害者家族の中で最高齢の99歳だった。
修一さんは1978年に、恋人の増元るみ子さんと共に、鹿児島県日置市の吹上浜で北朝鮮の工作員に拉致された。北朝鮮側は2002年9月、「2人は死亡した」と一方的に通告。しかし、提示された情報は矛盾に満ちていて、家族は修一さんたちの生存を信じ、全国を駆け回って奪還への活動を続けてきた。
しかし、2008年には母・トミさんが91歳で亡くなった。家族は、平さんにだけは修一さんをその胸に抱かせてあげたいと、北朝鮮が1か月前に開始した拉致問題の再調査に希望をつないでいた。しかし、その願いはかなわなかった。
健一さんは「父にだけは、弟と会わせてあげたかった。近く、再調査の結果が出されると聞いていただけに、残念で無念でならない」と話している。