世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”に高額献金をした元信者側が教団側に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は教団側が勝訴した2審判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

この裁判は、認知症の症状があった元信者の女性が、統一教会の信者から違法な勧誘を受け、献金させられたとして、女性の長女が、教団側におよそ6500万円の損害賠償を求めているものです。

女性が「賠償請求を行わない」と記した念書を教団側と交わしていたことなどから、1審、2審とも教団側が勝訴していました。

最高裁は、11日の判決で、女性が交わした念書について、「合理的に判断することが困難な状態にあることを利用して、一方的に不利益を与えるものであったと認められる」として、「公序良俗に反して無効」との判断を示しました。

また、献金の勧誘行為については、「勧誘が社会通念上、相当な範囲を逸脱しているかどうか、献金の経緯や額など多角的な観点から検討する必要がある」としたうえで、これらについて「審理が尽くされていない」と述べ、高裁で審理をやり直すよう、命じました。

最高裁は「念書が無効になる場合」と、「宗教団体の献金勧誘行為が違法となる場合」についての判断基準を初めて示しました。