【解説】 「まん延防止」全面解除へ 濃厚接触者“出勤制限”求めない方向「社会経済活動を維持するため」
政府は「まん延防止等重点措置」について、今月21日の期限で全面解除する方針を固めました。政府は、感染状況に応じて、今後は濃厚接触者の出勤制限を求めない方向で調整。政府関係者は「社会経済活動を維持するため」と話しています。詳しく解説します。
■濃厚接触者“出勤制限”求めない方向で調整
15日、全国で4万9171人の新型コロナウイルス感染者が確認されました。10万人を超えたピーク時と比べて、半分に減少しました。
「まん延防止等重点措置」が出されている都道府県では15日、北海道は1196人、東京は7836人、大阪は5980人の感染者が確認され、多くは減少傾向となっています。
こうした状況の中、政府は「まん延防止等重点措置」を全面解除する方針を固めました。東京などでは1月から実施されましたので、2か月ぶりの解除ということになります。岸田首相は16日午後、記者会見で自ら説明することにしています。
また、政府は、感染状況に応じて、今後は濃厚接触者の出勤制限を求めない方向で調整していることが明らかになりました。
これまでは、職場などで感染者が出ると、その会社で濃厚接触者を特定して、自宅待機などを指示してきました。ただ、オミクロン株のように感染力が強い場合は、濃厚接触者が多すぎて仕事が回らず、社会経済活動が停滞するケースがありました。
政府関係者によると、今後は感染が拡大している地域では、濃厚接触者を特定せず、一律には出勤制限を求めない方向で調整しているということです。ただ、医療機関や高齢者施設などについては、保険所が調査を継続するということです。
ある政府関係者は、「オミクロン株の特性に合わせ、社会経済活動を維持するため必要」と話しています。
■感染者数は減少傾向も…専門家会議は警戒
一方、15日に開かれた厚生労働省の専門家会議では、感染者数の下げ止まりを警戒する見方が示されました。
厚労省アドバイザリーボード 脇田隆字座長
「春休みや年度末・年度替わりで、普段会わない方との接触機会増えることで、リバウンドに注意。現在、全国的には減少傾向となっているが、減少速度は相変わらず緩やか。 いわゆる昨年の第5波の収束局面とはかなり違う状況にあるとは思います」
東京都の感染者数を第5波と第6波で比較すると、もちろん、感染者数の「山の大きさ」には大きな違いがあります。
第5波はピークから約1か月で約5分の1と急速に減りました。一方、第6波はピークから約1か月で約2分の1の減少です。また、減少のカーブも緩やかになっています。
さらに、「BA.2」への置き換わりが警戒されています。
厚労省アドバイザリーボード・西浦教授の資料によると「BA.2」は国内で主流の「BA.1」と比べ、感染力が強いことが示されているオミクロン株の別系統です。
東京では現在、オミクロン株の約3割が「BA.2」と、置き換わりが進んでいるとみられます。さらに、「来月初めには、82%まで置き換わりが進むだろう」という予測も出されています。