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【速報】106万円の壁は撤廃へ 週20時間以上働けば厚生年金加入へ 年金制度改正議論大詰め きょう年金部会で方向性まとまる

2024年12月10日 14:00
【速報】106万円の壁は撤廃へ 週20時間以上働けば厚生年金加入へ 年金制度改正議論大詰め きょう年金部会で方向性まとまる

■106万円の壁撤廃へ

年金制度改正について、厚生労働省は専門家らで構成する年金部会で年内のとりまとめを目指していて、議論が大詰めを迎えています。10日に行われる年金部会で、厚労省は、パートの人などが厚生年金に加入する要件、いわゆる「106万円の壁」については2025年以降に撤廃する案などを示しました。

現在、学生以外のパートやアルバイトの人などが、企業の厚生年金に加入する要件は、
●従業員数51人以上の企業で、
●週20時間以上働き、
●賃金が月8万8000円以上、つまり年収に換算すると、およそ106万円以上、
この3つの要件すべてを満たした場合、と定められています。

厚労省は、短時間で働く人が企業の厚生年金に加入し、将来受け取る年金額を増やせるよう、このいわゆる「106万円の壁」と呼ばれる要件をまず撤廃し、さらに準備期間を設けた上で企業規模の要件も撤廃し、週に20時間以上働いた人(学生を除く)は、企業の厚生年金に加入するようにする案を10日の年金部会に示しました。

厚労省は、この改正は2025年から30年までの間に行うとしていて、「106万円の壁」については「最低賃金の動向をふまえる」と述べています。最低賃金が今のペースで上がり続けると、2026年10月には週20時間働くと自動的に106万円を超える状態になることから、「106万円の壁」の撤廃時期は2年後でよいかなどを部会で議論します。ただ年金部会がまとめる報告書に改正時期は明記せず、厚労省が年金法の改正案を作る段階で時期を盛り込むということです。

■制度改正は独身者には朗報だが、主婦の場合は保険料の負担が

この制度改正、実は独身者には朗報ともいえます。というのは、パートやアルバイトの人のうち、20歳以上の独身者は現在、国民年金に加入し、保険料の全額を自ら納めていますが、厚生年金に加入すれば保険料の半分を企業が負担してくれるので、保険料の負担が減ることになります。そして将来受け取る年金の額も、厚生年金に加入した方が増えます。

一方、会社員や公務員の夫(配偶者)の扶養である主婦は、年金保険料を納めていません。子育てや介護などがあるために短時間働くことを選ぶ人もいますが、保険料を負担しない状態を保つために「年収106万円の壁」を超えないように計算して働いている人もいると言われています。

厚労省の試算によると、「106万円」を意識して就業調整している主婦などはおよそ65万人いるとみられます。制度改正後は、この人たちも週20時間以上働くと、年収に関係なく、厚生年金に入り、新たに保険料を負担することになります。なお将来受け取る年金額は現行制度より増えることになります。

■保険料負担軽減の措置も…

厚生年金に加入すると、年金保険料を、働く本人と企業が半分ずつ納めます。上記のように、主婦の場合は、これまで負担していなかった保険料を負担することになりますし、独身者でも、手取りだけをみれば、保険料を差し引かれることになります。

「手取りが減る」のを避けるための措置として、厚労省は、月収13万円未満の人については、保険料を企業が負担する割合を多くして、本人が負担する割合を少なくできるという特例制度を一時的に設ける案も示しました。

月収13万未満であれば、新規で雇う人もすでに働いている人も「保険料負担軽減」の対象にし、企業負担の割合をどこまで増やすかは、企業ごとに労働組合と話し合うなどして決めるということです。

経営に余裕のある大企業では、この「個人負担軽減措置」を実施する一方で、経営が厳しい中小企業では実施できない、といった格差が大きくなりすぎないよう、何らかの支援策も検討するとしていますが、具体的なことは今後決めるということです。

■遺族厚生年金 男女区別なく5年間支給へ

一方、会社員などが亡くなった際に配偶者に支給される「遺族厚生年金」についても改正案が打ち出されました。

これを受け取る要件に男女差があったこれまでの制度を見直し、60歳未満で子どもがいない人については、性別や収入にかかわらず5年間給付する案を厚労省が年金部会に示しました。

5年間と受給期間が限定される一方、受け取る年金額は今の制度より増額され、配慮が必要な人には5年目以降も給付されるということです。

■厚生年金の積立金活用で基礎年金底上げの案も

10日の年金部会では、ほかの議題も話し合われる予定で、今の40代より若い人などが将来受け取る基礎年金の額を増やすため、会社員らがかつて納めた厚生年金保険料の「積立金」の一部を、基礎年金の支給に充てる案も議論されます。

基礎年金については、その額の半分を税金でまかなうことが法律で定められていて、将来的に基礎年金の額が増えるのは朗報ですが、巨額の税金がさらに必要になることから、これをどう確保するのかが大きな課題です。

厚労省は、年内にも年金部会でこうした制度改正の方向性をまとめ、来年の通常国会に年金法の改正案を提出することを目指しています。

最終更新日:2024年12月11日 10:59
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