空襲犠牲者1人1人を読み上げ 戦争の記憶を語り継ぐ 千葉市で「ピースフェア2023」
太平洋戦争末期、千葉市内が米軍機に攻撃され、大勢の犠牲者が出た「千葉空襲」がありました。その記憶を語り継ぐとともに平和について考えるイベントが千葉市で開かれました。
■「ピースフェア2023in千葉」今年で10回
「ピースフェア2023in千葉」は、千葉市を拠点に、若い世代に戦争体験を伝える活動を続けている市民団体が毎年開いているもので、今回で開催は10回目。
今年のテーマは「軍都千葉と軍都広島ー空襲・原爆の背景を考える」。空襲や原爆による被害だけではなくそれ以前からのそれぞれの都市の軍隊とともに歩んだ歴史とその後などを伝えるものです。
戦争の悲惨な実態を伝えるとともに、戦争を繰り返さないためにしなければならないことや平和の大切さを来場者と一緒に考えることを目的にしています。
会場内のステージでは、太平洋戦争末期に、千葉市であった空襲で犠牲となった人々の読み上げが期間中、毎日行われました。
氏名や年齢が分かっている方だけではなく、名字だけ、名前だけの方々もいます。
空襲で亡くなる直前まですぐそこで生きていた人たち。1人1人を読み上げることで命を奪う戦争がいかに非道かということを感じてほしいとしています。
読み上げに参加した、4歳の時に東京大空襲を体験したという男性は、「切迫した状態で亡くなった人がいっぱいいると感じた。供養とともに名前を長く刻んで、みんなで思い出して、戦争を二度と繰り返さないようにと認識して読み上げた」と話しています。
また、戦争体験を伝える紙芝居や平和の大切さを訴える絵画などが展示されているほか、戦争体験談や詩の朗読などもステージで行われました。
主催団体の1つ、「ちば・戦争体験を伝える会」の市川まり子代表は「戦争が人々の命を奪うだけでなく、どれだけ理不尽に未来を奪うものか、最後はいかに悲惨な結末を迎えるかを感じ取ってほしい。今も続く様々な戦争についても自分たちのこととして考えて欲しいと思います。」と話しています。
「ピースフェア2023in千葉」は6月18日、日曜日まで千葉市中央区の施設「Qiball(きぼーる)」で開かれています。
千葉市を襲った空襲は、太平洋戦争の間に複数回ありました。
千葉市によりますと、昭和20年6月10日と7月7日の空襲による甚大な被害で、市街地のおよそ7割が焼け野原になり、死傷者は1595人、被災戸数は8904戸、被災した人たちは4万1212人だということです。