なぜこの時期に増加?“過去10年で最多”感染性胃腸炎 ノロでなく「サポ」集団感染も 対策は
この時期として、過去10年で最も患者が多くなっているのが「感染性胃腸炎」です。「ノロウイルス」だけではなく、20日は「サポウイルス」の集団感染も明らかになりました。
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20日、街で聞かれたのは…。
保育士
「私、保育園で働いているんですけど、どんどん増えているかな」
親子で「胃腸炎」に
「この子(娘)も2月終わりか3月初めにちょっと吐いちゃったりとかして。上の子の学校で学級閉鎖」
「感染性胃腸炎」の患者の増加です。街で話を聞いた親子が見せてくれたのは…
「保育園でもアプリを通じて感染状況とかを送ってくれる」
並木雲楓フィールドキャスター
「どんなことが書かれている?」
「クラスでどういった症状の子がいるか、一目で分かるように。ほぼ毎日来ていますね」
今月9日までの1週間に報告された「感染性胃腸炎」の患者数は1医療機関当たり11.38人。同じ時期で比べると、過去10年で最多となっています。(※今月3日~9日、国立感染症研究所による)
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都内のクリニックでは…
「感染性胃腸炎」患者
「食べ始めたらもういいやって、ほとんどそこから食べてなくて。おなかがぎゅって握られているような…」
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤院長
「過去遡って1週間くらい焼き肉とか焼き鳥とかは?」
「感染性胃腸炎」患者
「牡蠣(かき)バターみたいな。加熱してある牡蠣ではあったんですけど。お店のトイレがきれいじゃなかったので、そこも気になっていて」
伊藤院長
「不衛生に思えたのであればドアノブ・蛇口から付着して…」
「感染性胃腸炎」患者
「ちゃんと手も洗わなかったかもしれない」
このクリニックでは、例年であれば患者が減少してくる3月になっても今年は増加傾向で、1日に15人ほどの胃腸炎患者が訪れるといいます。
こうした中、20日、和歌山市の保健所は市内のホテルのレストランで食事をした客ら20人が「サポウイルス」による食中毒を発症したと発表しました。
「サポウイルス」はノロウイルスと同様に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一つ。腹痛や下痢、おう吐などを訴えた客19人のうち11人と、従業員1人の便から「サポウイルス」が検出されたということです。
また、神奈川県藤沢市は19日、自動車工場内の社員食堂でノロウイルスによる食中毒が発生したと発表。今月11日に提供された食事が原因とみられ、従業員ら263人が症状を訴えました。いずれも軽症で快方に向かっているということです。
なぜいま「感染性胃腸炎」が増加しているのでしょうか。専門家は…
感染制御学が専門 東邦大学・小林寅喆教授
「年末年始が非常に暖かくて、その間に流行(の程度)が意外に低かった。この時期になると寒暖差もあり急激に寒くなったり、人にとって負担が非常に大きく免疫機能としても落ちてくる」
気温の低下によるウイルスの活性化や、寒暖差による免疫力の低下が感染拡大につながっているといいます。今後、暖かくなるにつれ、流行はおさまる見通しだということですが、いま私たちができる「対策」については…。
東邦大学・小林寅喆教授
「ノロウイルスしかりサポウイルスは、アルコールでは効果が低いので、石けんできちんと手洗いをするということが大事な感染対策になります」
「特に水回りとトイレ周りが非常に感染のリスクが高い場所になるので、家庭用漂白剤を薄めて周りを拭いていく。それと、感染している人は、できるだけ外に出て行かずに症状が治まるまできちんと静養することも大事な点になります」
(3月20日放送『news zero』より)