12人家族の「幸せのかたち」を…21年間密着 報道ドキュメンタリーが映画に
熊本・宇土市に住む「12人家族」を20年以上、追い続けた映画の上映が、21日から東京で始まりました。この作品は、日本テレビ系列の「NNNドキュメント」などで放送した映像から映画化したもの。主人公のご夫妻に話を聞くと「家族のしあわせ」の形が見えてきました。
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21日、映画「人生ドライブ」の上映がスタートしました。日本テレビ系列の熊本県民テレビが、報道ドキュメントの取材で20年以上撮り続けてきた一つの家族の姿を映画化した作品です。
主人公の岸英治さん・信子さん夫妻は、熊本県宇土市に住んでいます。岸さん夫妻には息子7人、娘3人のあわせて10人のお子さんがいます。一番上の長男は1984年生まれ、末っ子の七男は2001年生まれ。その差は17歳にもなります。
カメラは、日々の暮らしに追われる中、新たな命の誕生や自宅の火災、そして熊本地震――岸さん一家の20年以上を捉えていました。
現在も岸さん夫妻は、「2人きりになれるから」という理由で「ドライブデート」を楽しんでいます。映画では、2人のドライブシーンを挟みながら、家族のこれまでを振り返っていきます。
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岸さん夫妻に、映画の主人公になった気持ちを聞きました。
岸英治さん
「(映画に出るという)こんなことって、他の人にはない。うちにとっては何かとっても大切なものに思えて。音楽がついて画面で見ると…泣けたところもあるんですよ」
岸信子さん
「私が子どもを、ぎゅーとしているところが一番好きかな。小さいときに、ぎゅーとしている自分を見るとすごい幸せな気持ちになって、また味わいたくて、つい何回も見てしまうようなところがあったかな」
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岸さんの家では月に一度、子どもたちにとって大切な日がやってきます。それは「お母さんかお父さんのどちらかを独り占めにできるという日」です。ある日、三男・息吹くんの日には、お父さんと食事をした後、2人で海へ行きました。海辺で一緒に座りながら、お父さんが息吹くんに語りかけました。
父・岸英治さん
「たくさんの子どもたちを 育てると大変なときがあるんだよ」
息吹くん
「うん」
父・岸英治さん
「そんなとき、お父さんの親友になってね。ずっとお父さんを助けてね」
息吹くん
「うん。だからって、わざと 助けられるようなことはしないでねー」
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この「お母さんかお父さんのどちらかを独り占めにできるという日」のきっかけについて、母親の信子さんが明かしました。
岸信子さん
「もともと友達がやっていたことを、まねっこしただけなんです。そこも子供さんが4人いらっしゃって、一人一人愛情を注ぐのが難しかったりするでしょ。わが家のやり方で少しアレンジして、『その子が生まれた日にちに、お父さんかお母さんどっちか1人とデートして、残った方が子守をする』というふうにやったけど、結構、長く続いたかな」
岸英治さん
「最初は『一緒に寝る』とかね。『今日はお父さんと一緒に寝る』とか…でも、ほとんどリクエストがあるのは、こちら(お母さん)。お父さんは、あまりない」
改めて、「家族のしあわせとは」と尋ねると…英治さんが突然、目頭を押さえながら答えました。
岸英治さん
「子どもたちが多くても本当に幸せになれたし、仕事でも毎日、楽しいことが見つけられていくし、自分の存在価値が本当に…見つけられてるなあと思うと、毎日が幸せですよ」
――この映画を通して伝えたいことは?
岸英治さん
「『一番助けないといけないのは家族』。もちろん周りの人に一生懸命いいことするけど、私が好きな言葉は『一番気を使うのは家族』。でも苦にしないようになれるよって。報いが一番かえってくるのは、家族」
(5月21日放送『news every.サタデー』より)