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両陛下が即位後初の被災地訪問 特別な思い「奇跡の一本松」と“再会”

2023年6月5日 22:41
両陛下が即位後初の被災地訪問 特別な思い「奇跡の一本松」と“再会”

即位後、初めてとなる東日本大震災の被災地を訪問した天皇皇后両陛下。陛下にとって特別な思いのある復興のシンボル、津波に耐えて唯一残った「奇跡の一本松」も視察されました。



3日、岩手県に到着された天皇皇后両陛下。津波で甚大な被害を受けた陸前高田市の追悼施設「高田松原津波復興祈念公園」を訪れ、ユリやかすみ草などの花束を手向けられました。

海に向かって拝礼し、犠牲者を追悼された両陛下。続いて、津波に耐えて唯一残った復興のシンボル「奇跡の一本松」を視察されました。陛下にとってこの「奇跡の一本松」には特別な思いがありました。

今から10年前に行われた学習院OB管弦楽団の演奏会で、当時、皇太子だった陛下は「奇跡の一本松」の一部などで作られた「津波ビオラ」を演奏されました。演奏を終えた陛下が掲げられたビオラの裏には「奇跡の一本松」が描かれていました。

“10年ぶりの再会”について陛下は…

「約10年前、雅子も見守る中で奇跡の一本松を用いて作られたビオラを演奏したことを思い出しました」

その後、両陛下は「津波伝承館」を訪問。震災の語り部らと懇談し「被災地の皆さんの復興への強い意志と希望を感じ、感銘を受けました」と感想を寄せられました。

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両陛下が最初に東日本大震災の被災地を訪問されたのは、発生からおよそ3か月後の2011年6月でした。

宮城県岩沼市では、当時の市長から「この地区だけでも42人が亡くなった」と説明を受けられた両陛下は、海のある方向を尋ね、深々と黙礼されました。

これまで被災地に心を寄せられてきた両陛下。新型コロナの影響で即位後、初めてとなる今回の被災地訪問では、大船渡市にある商業施設「キャッセン大船渡」で地元の人たちと交流されました。

そして4日午後、両陛下は「全国植樹祭」の式典にのぞまれました。式典では犠牲者に黙とうがささげられました。

天皇陛下
「震災を乗り越えて、この度全国植樹祭が開催されることは誠に意義深く、復興に向けた地域の人々のこれまでのたゆみない努力と大会関係者の尽力に、深く敬意を表します」

その後、陛下は岩手県の木である「南部アカマツ」の苗木などを植え、皇后さまはご自身の「お印」であるハマナスの種などをまかれました。その際、会場では生演奏が行われ、10年前に陛下が演奏された「津波ビオラ」も使われたということです。