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韓国で中高生“学力低下”…「オンライン授業に限界」分析 日本は「ほぼ変わらず」 なぜ?

2022年6月15日 2:00
韓国で中高生“学力低下”…「オンライン授業に限界」分析 日本は「ほぼ変わらず」 なぜ?

韓国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、中高生の学力が低下したとの調査結果を発表しました。一方で、日本では小中学生の学力はコロナ以降もほとんど変わらなかったといいます。違った結果が出た理由には、「オンライン授業」にまつわる、ある“違い”が関係しているとみられています。

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■韓国の中高生の学力 コロナ禍で「低下」調査結果

有働由美子キャスター
「『新型コロナの感染拡大以降、中高生の学力が低下した』との調査結果を、韓国政府が発表しました。感染拡大前の2019年と比べると、『基礎学力に達しない最も低いレベルとされる生徒』の割合が、国語も数学も英語も増えています。数学では、高校生の約7人に1人が基礎学力に達していない状況だといいます。小野さん、なぜここまでに?」

小野高弘・日本テレビ解説委員 国際部デスク
「韓国といえば『オンライン授業』です。感染拡大した2020年4月、いち早くオンライン授業の導入を始めたんです。でも、それに限界があったというんですね」

■コロナ禍でオンライン授業に その結果…

有働
「日本より、はるかに先駆けて…と思ってましたけれども」

小野
「そう思っていましたけれども、実は高校生からは『オンラインだから、つい他のことをやってしまう』『オンラインだと、特に国語と数学は授業についていけない』といった声もあがっていたんですね。。韓国で2020年、生徒らが登校できたのは、通常の半分の100日前後なんです。長くオンライン授業が続いたんです。今は対面に戻ってますけれども、この長いオンライン授業――こういったことも原因にあるんでしょうか、結果として、学力の低下がこの2年続いたんです。韓国政府は『オンライン授業が対面授業の代わりになるには限界があった』と分析しています。そしてコロナが長引いたことで、精神的な影響も学力に影響したとみられているんです」

■日本の学力は「ほとんど変わらず」 なぜ?

有働
「ついていけない生徒が出てきてしまったということですが、日本はどうなんですか?」

小野
「日本も調査しました。すると、小中学生の学力はコロナ以降もほとんど変わらなかったそうです。なぜか。その理由を文部科学省は、学校が再開した後にあるとみているんですね。文科省の担当者は『再開した後、それぞれの学校で夏休みを短縮したり、土曜授業を実施したり、あらゆる手段で遅れを懸命に取り戻していただけました。その成果だとみています』と話していました」

「日本でも休校の間、オンライン授業導入されましたね。ただ文科省の担当者によると、小学校では2.6%、中学校では5.2%と、ごくわずかでした。オンライン(授業)が進んでいなかった分、いやがおうでも、その後の対面授業で挽回せざるを得なかった。結果として、それが功を奏したようなんです」

有働
「まあ、良かったのか悪かったのか…」

小野
「ちょっと複雑な気持ちになりますね」

■オンライン授業では学力が下がるのか?

有働
「落合さんは教育者として、オンライン(授業)の良し悪し、どういう実感ですか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「こういいった『テストでわかるような学力』って、僕は全体的には下がるんじゃないかなと思いますね。それは、まじめにやれる人っていうのは、そもそも最初からまじめだから、勉強が得意な人は伸びるし、逆に誰かが見張ってたりとか、ちょっと…監視したりしないと勉強しないような人というのは、伸び悩んでいくのかなぁとは思います」

有働
「それがもう、オンラインの特徴でもあると…」

落合
「大学やってると、リモート(授業)では特に自習のクオリティーって結構、難しい問題で、プレッシャーがかけられないから単位時間あたりの集中力が下がる教科もあるんですよ。『みんながプレゼンしなきゃいけない』となるとプレッシャーかかるじゃないですか。たぶん、そういうのがあるんじゃないかなとは思いますけどね」

■オンライン 人によって変えた方がいい?

有働
「これは今、教育の現場の話ですけど、仕事ではどうですか?」

落合
「仕事でも同じように、例えば、上司が後ろから見張ってないとまじめに…ちゃんと働いてくれない社員は、(オンラインだと)きっと下がっていると思います。逆に、放っておけば伸びていくタイプは、邪魔が少ないから伸びると思います」

有働
「そういうことも踏まえた上で、『何がベストか』を次に備えていきたいですね」

落合
「人によって変えた方がいいと、僕は思いますけどね」

有働
「なるほど、なるほど」

(6月14日放送『news zero』より)