季節外れの暖かさ 野菜の価格に影響も
季節外れの菜の花に、セミの姿、秋から続く暖かさで異変が続いている。この暖かさで私たちの食卓にのぼる野菜の価格にも影響が出ている。
豊かな自然に囲まれた山梨県・北杜市。通常春に花を咲かせる菜の花が季節外れの黄色い花を咲かせていた。さらに、同じ北杜市内ではひまわりも咲いた。
北杜市大泉の11月の平均気温は平年7.3℃だが、今年9.4℃だった。県の担当者はこの時期に花を咲かせたことは、「暖冬が影響したのでは」と話している。
東京では例年より10日ほど遅く紅葉が見頃を迎えている。東京・日野市の高幡不動尊金剛寺貫主・川澄祐勝さんは、「今までこんな遅かったことはない。11月が暖かかったですから」と話した。
あと5日ほどは紅葉を楽しむことができるという。
先月の気温を平年の気温と比べたデータによると、九州の一部は平年より3℃以上高かったことを示している。
全国的にも平年より暖かかった11月。東京・小笠原諸島では12月に入ってから8日間のうち、8日も含め5日間、25℃以上の夏日を記録している。去年は12月の夏日は0日だった。
この陽気に全国では異変が相次いでいる。
福岡・大牟田市では先月19日、この時期には珍しいセミの抜け殻があった。そして、クマゼミの姿があった。
福岡県の博多湾に浮かぶ能古島では土の中からふきのとうが顔を出した。例年だと早春に芽を出すはずが、暖かさに誘われて勘違いしてしまったのだろうか。
福岡市の福岡大学では、大学の職員が先月5日、つくしを発見したという。
一方、暖冬の影響でピンチを迎えているのが冬の風物詩・干し柿。
まるふく農園・福岡博義さん「今年ぐらい干し柿農家として苦戦を強いられたのは初めてですね」
干し柿は収穫した渋柿を一定期間乾燥させることで甘みと栄養を凝縮させるが、福岡さんは、「温度が高いと柿自体が水分を持ってますので、そこでカビが発生してしまう。(干しても)全然商品にならなくて、廃棄にするしかないという」と話す。
温度が高いため水分が抜けきらず、出荷予定のうち約4分の1は廃棄処分にせざるを得ないという。
また、野菜にも大きな影響が。千葉・JA市原市の姉崎集出荷場では、大根がカットされていた。大根は大量に早く成長したため取引価格は例年の半分ほど。出荷しても赤字になるため、3割近くは廃棄せざるを得ないという。
成長が早くなっているのは大根だけではない。千葉・野田市で収穫が行われていたのはほうれんそう。温暖な気候により、ほうれんそうが本来の予定より早く育ってしまったという。また品質に影響も。予定より早めの出荷で全体の出荷量が増えたため、ほうれんそうの卸売価格は全市場平均で200グラムあたり11月2週目に74円だったのが、2週間で15円ほど下がっている(11月4週目・58円)。
白菜も同じ傾向にあり、価格は下落傾向にある。
気象庁は、今年の冬は東日本から西日本にかけて暖冬になる可能性が高いと予想していて、まだまださまざまな影響が出てきそうだ。