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首のヒモが…事故相次ぐ 子供服に安全基準

2015年12月15日 4:23
首のヒモが…事故相次ぐ 子供服に安全基準

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。14日は、「子ども服の安全基準」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 ■77%が「子ども服」で事故

 子ども服で様々な事故が起きている。公園の滑り台やブランコの鎖に首回りのひもが引っかかった事故、上着のひもが自転車のタイヤに巻き込まれて自転車ごと倒れてしまった事故、ズボンの裾のひもが電車のドアやエスカレーターに挟まれた事故など、多くの事例が報告されている。

 東京都がおこなったアンケートでは、子どもを持つ親1163人のうち、77%が子ども服が関係する事故を経験したと回答していて、6人に1人はけがをしていた。その主な原因が「ひもの引っかかり」によるものだった。

 アメリカでは、過去に子ども服のひもがスクールバスのドアに挟まれ、子どもがバスに引きずられて死亡する事故も起きている。

 ■JISで安全基準

 そこで、来週21日に「JIS 日本工業規格」で、子ども服のひもについて安全基準が定められる。「JIS」というのは、製品の品質や安全性などの基準を決めた統一規格。これまでは、子ども服について公的な基準がなく、各メーカーがバラバラに対応していた。今回の基準づくりに関わった日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)の田近秀子さんは、次のように話している。

 NACS・田近秀子さん「首まわりのひもは何かに引っかかると(首もとが)絞まって窒息の危険性があるので禁止です。特に、ひもの先にぽんぽんなどがついている場合は、引っかかりやすくなります。また、ズボンのウエストのひもも、伸びると物や自転車に引っかかりやすくなります。長さが、伸ばした状態で14センチまでと規定ができました。それから、股から下の上着やズボンの裾についてるひもは、垂れ下がることは禁止になりました」

 もう一度整理すると、今回JISでは、頭や首回りのひもについて、7歳未満の子ども服では一切あってはならないとしている。また、7歳以上13歳未満の子ども服では、ひもはついていてもいいが、頭や首回りに垂れ下がっているひもはダメ。13歳未満の子ども服では、体の後ろから出ていたり、背中で結ぶひもはダメ。また、股より下の服やズボンの裾のひもが垂れ下がっていてはいけないとしている。

 ■輪っかを縫い止め…ミキハウスの取り組み

 国内では、すでに対策をすすめているメーカーもある。「ミキハウス」ブランドを展開する大阪府の三起商行は、お客さんから「襟元のひもを子ども同士が引っ張って危ない」という声が寄せられたことなどから、2008年から商品の改善に取り組んできたと話している。

 今回の規格改定を受けて改善したものをミキハウスからお借りした。ビキニタイプの水着は、ひもの端がぶらぶらしてはいけないということで、輪っかに改善。ダッフルコートのボタンを留めるループは、縫い止めて輪っかを小さくしてひっかからないように改善。

 ■フードは対象外、しかし…

 今回、安全規格の対象にならなかったものもある。それが「フード」。先ほどの田近さんは、今後はフードの安全性についても検討してほしいと話している。

 NACS・田近秀子さん「フードについても、ジャングルジムのてっぺんに引っかかって首が絞まったり、家のドアノブに引っかかって転倒したりした事例もありました。フードがとりはずせるデザインのものも販売されていますので、公園などで遊ぶ場合は、このような服を選ぶといいと思います」

 実際、2012年には、都内で当時4歳の女の子が、玄関から外に出ようとしてパーカーのフードがドアノブに引っかかって窒息状態となり、入院する事故が起きた。今回、フードについてJIS規格では、参考情報にとどまっている。

 ■「カワイイ」より安全

 きょうのポイントは、「カワイイより安全」。かわいくて、おしゃれなデザインでも、事故の危険が潜んでいることがある。保育園では、フード付きの洋服を禁じるところも多い。事故を防ぐのは大人の責任だ。ひもが何かにひっかかったりしないか、フードは取り外せるか、選ぶ時にちょっと立ち止まって考えてみたいものだ。