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病院・地図記号…“おもてなし”準備、着々

2016年1月26日 4:27
病院・地図記号…“おもてなし”準備、着々

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。25日は、「“おもてなし”準備」をテーマに、日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと4年となった。新国立競技場の建設計画は、先月、新たな案が決定し、大会のエンブレムは今年の春にも決定する予定。外国人旅行者の数も過去最多となった今、“おもてなし”の準備が着々と進んでいる。

 ■新しい地図記号

 まずは、外国人向けの新しい地図の記号。今使われているものは、例えば、「交番」や「郵便局」など外国人にとっては分かりづらいものもある。そこで、観光客がよく利用し、緊急時にも使われる18種類の記号について、外国人向けの地図記号を新たに作ることにしたのだ。

 新たな記号は、外国人観光客など約1000人へのアンケートを行って案が作られたが、例えば、バッテンを描く交番の記号は、「分かりやすい」と答えた人が4%しかおらず、「進入禁止に見える」などの意見があったため、警察官が敬礼をするポーズに変更した。

 また、郵便局の記号は外国人にはなじみがないということで、封筒をイメージした記号に。その他、ホテルの「H」の記号は、「病院=Hospitalと間違える」「ヘリポートに見える」などの意見も多く、ベッドのマークに変更された。ほかにも、サンドイッチマークがコンビニやスーパーを表す印とされるなど、外国人に分かりやすい記号が検討されている。

 国土地理院によると、「外国人だけでなく、道案内をする日本人もパッと見て分かりやすくするよう工夫した」そうで、新たな記号は来月まで一般から意見が公募され、今年度中にも正式決定する予定だ。

 ■タブレット活用…病院でも“おもてなし”

 さらに、外国人の受け入れ準備は、病院でも着々と進んでいる。東京オリンピック・パラリンピックでは、選手や大会関係者の受け入れ先となる病院が、IOCなどとの協議で決められる。これは「オリンピック病院」と呼ばれ、どの病院が指定されるかはまだ決まっていないが、選手村や競技場からの距離や、病院の診療態勢などをもとに決められることになっている。

 こうした中、都立の病院では外国人を受け入れるため、昨年度から看護師など職員らを対象に医療用の英会話を学ぶ講座を始めているほか、新たな取り組みも始まっている。

 都立広尾病院では、外国人向けにタブレット端末を使って問診するシステムを先月から導入した。画面には「What seems to be the problems?(どうしましたか?)」「When did it start?(いつからですか?)」など、英語で質問が表示され、痛い所や具合の悪い所は、人の形をしたイラストをタッチするなどして入力していく。

 東京都立広尾病院・山本康仁部長「言葉が違う中で問診というのは大事な情報なんですね、診療するにあたって。その間に、情報のやりとりに齟齬(そご)があってはいけない。コミュニケーションのミスをできるだけ少なくするために、このタブレットを導入しました」

 外国人が増えれば、病院にもいろんな言語を使う人が訪れることになる。こういうシステムがあると受け入れる側も安心だ。

 ほかにも東京・新宿区の国立国際医療研究センターでは、去年からイスラム教徒向けの病院食を提供している。ここでは口にすることが許されていない豚肉などを調理しない“専用のフライパン”を完備している。

 ■“おもてなし”から暮らしやすさへ

 25日のポイントは「“おもてなし”から暮らしやすさへ」。日本により多くの外国人を受け入れるためには、ほかにも、宿泊施設不足をどう解消するか、空港や港での入管手続きをどう効率化するか、また、無料Wi-Fiの充実へ向けどうするのか、といった課題がいくつかある。

 こうした外国人の方へのおもてなしを考えていくことで、高齢者や障害のある方など、多様な人たちが暮らしやすい社会にもつながっていくのではないだろうか。