教科書新検定基準で領土記述が約1.6倍に
来年4月から高校生が使用する教科書の検定作業が終わり、結果が公表された。
今回、検定の対象となったのは主に高校1年生が来年4月から使用する教科書。多くの教科書が2020年東京オリンピック・パラリンピック大会について取り上げているほか、近年、ニュースなどで取り上げられるようになった「LGBT」や「ブラック企業」などの用語も初めて記載された。
また音楽の教科書には映画「アナと雪の女王」の主題歌やSEKAI NO OWARIなども登場している。
一方、政府の統一見解を踏まえることや見解が分かれる事柄についてバランスよく記述することなどを求めた新たな検定の基準が、去年から適用されたことで、歴史科目や公民科目の教科書では竹島、尖閣諸島は「日本固有の領土」であることに加えて、竹島については、「日本は国際司法裁判所への共同提訴を3回提案している」など日本の具体的な取り組みが、尖閣諸島については、「領有権の問題はそもそも存在しない」などの記述がされている。
その結果、領土について扱う量が増え、今使われている教科書に比べ、全体で約1.6倍となった。
また新基準に基づき、南京事件の犠牲者数については具体的な数字の記載を避けた上で、「諸説ある」という記述に修正された。
一方、慰安婦問題については、去年12月に日韓両政府が元慰安婦支援のため韓国が設立する財団に日本政府が約10億円を拠出する事などで合意し、合意が着実に実施されれば「最終的かつ不可逆的な解決」とすることを確認しているが、今回の教科書検定への申請時期を過ぎていたため、来年4月からの教科書には反映されていない。