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若者も標的…だまされない特殊詐欺のミカタ

2016年4月8日 18:05
若者も標的…だまされない特殊詐欺のミカタ

 中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」8日のテーマは「若者も特殊詐欺の標的に…」。

 今月4日、警察庁では全国の警察の特殊詐欺対策の担当者らを集めた会議が開かれた。この中で警察庁の幹部は、組織の中枢を摘発して犯行グループを壊滅するよう指示した。


■8種類ある特殊詐欺
 特殊詐欺というのは振り込め詐欺などのことだが、正確にはオレオレ詐欺や使ってない費用を請求する架空請求詐欺、ウソの投資話で費用をだまし取る金融商品詐欺など8種類ある。特殊詐欺の被害額は2015年が476億円と3年連続で400億円を超えるなど深刻な状態が続いている。


■話題の出来事でだますケースも
 警察庁の調査によると、被害者の約8割が65歳以上の高齢者だ。最近では、話題の出来事をかたって高齢者をだますケースが増えている。

 例えば「マイナンバーの暗証番号が漏れているから確認が必要」と言われ、キャッシュカードや通帳をだまし取られるケースや、電力会社を名乗る人物から、「電力自由化でスマートメーターを取り付ける」と言われ、高額の設置費用を請求されるケースなどがある。スマートメーターへの交換は原則無料なので、注意が必要だ。


■目立つ「若者狙い」の特殊詐欺
 ただ、こうした高齢者被害に加え、最近では若者を狙った特殊詐欺も目立ち始めている。その一つが、プリペイドカード詐欺、つまりプリペイド型の電子マネーをだまし取る手口だ。2015年の被害額は約5億8490万円と前年の約6倍になった。

 プリペイド型の電子マネーとは、コンビニなどでカードを購入し、インターネット上で本などを購入したい場合、カードの裏面に記載されたID番号を入力すると買い物ができるという仕組みだ。


■実際の手口は…
 20代の男性のスマートフォンに、有料サイトの料金を請求するメールが届いた。男性は心当たりがなかったが、メールに書かれた電話番号に連絡をした。すると、電話の相手からこんなことを告げられた。

 「約50万円の未納料金がある。今日中に払わないと裁判になる」

 この時、現金ではなく、プリペイドカードを買って支払うよう指示された。男性は、裁判になると言われて怖くなり、その指示に従って約70枚、50万円分のプリペイドカードを購入した。

 次に指示されたのは「カードの番号が分かるようにファクスしてください」。男性は言われるがままプリぺイドカード70枚分の番号をファクスで送信し、結局、50万円分をだまし取られたという。


■金銭の授受が不自然
 私たちがこうした被害に遭わないようにするには、どうしたらいいのか。プリペイド型電子マネーをだまし取る手口も、ちょっと考えてみると、現金の授受の仕方が不自然だ。振り込め詐欺といえば、かつては金融機関の口座に振り込ませていた。

 しかし、2008年に振り込め詐欺救済法という法律が施行されてからは、犯行に使われたことが分かった口座は金融機関によって凍結され、お金を引き出せなくなることから、別の送金方法が悪用されるようになっている。

 金銭の授受が不自然な場合は特殊詐欺である可能性が高いので、一人で悩まずに警察や周りの人に相談するのがいいだろう。