【熊本地震】
　地震により九州各地では１６日、交通への影響が広がっている。

■空の便
　国土交通省によると、熊本空港は滑走路の運用に支障はないもののターミナルビルで天井が崩落し、水漏れが起きているため午前４時４５分に閉鎖された。このため、熊本空港に乗り入れている日本航空、全日空、ジェットスター、ソラシドエアの各航空会社は、１６日の７４便すべての欠航を決めている。再開のメドが立っていないことから１日も全便の欠航が決まった。

　新幹線や高速道路の不通を受け、日本航空では臨時に福岡～鹿児島で１６日と１７日、１日６往復の臨時便を飛ばしている。

■鉄道
　午前１１時半の時点で、ＪＲ九州や西日本鉄道など１１事業者の２７路線で運行を休止している。ＪＲ九州によると、九州新幹線は１４日に回送列車が脱線した影響などで、博多と鹿児島中央の全区間で１６日は終日、運転を見合わせるという。脱線車両の移動もまだできていないため、再開のメドは立っていない。

　在来線では、午後２時半現在、鹿児島本線で福岡と熊本の県境にある荒尾～八代で運転を見合わせており、熊本の中心部へは新幹線でも在来線でも行けない状態となっている。九州の東側を縦断する日豊本線は福岡・宇島～宮崎・延岡で運転見合わせ、熊本と大分を結ぶ豊肥本線や九州を横断している久大本線などでも、全区間で運転を見合わせている。安全点検が終わり次第、運転を再開しているが、通常よりも本数を減らして運転している。

　また、熊本県南阿蘇村で起きた土砂崩れにより熊本と大分を結ぶ豊肥本線は赤水駅～立野駅の線路が流失したほか、午前１時２５分の地震で赤水駅の構内で市ノ川駅に向けて出発した２両編成の回送列車が脱線した。乗務員にケガはなかったという。

■高速道路
　日本道路交通情報センターなどによると、午後３時現在、九州自動車道の植木ＩＣ～えびのＩＣの約１４０キロ、大分自動車道の日田ＩＣ～大分米良ＩＣの約９０キロ、東九州自動車道の大分米良ＩＣ～佐伯ＩＣの約４０キロ、安心院ＩＣ～日出ＪＣＴの約１６キロ、南九州自動車道の八代ＪＣＴ～津奈木ＩＣの約３６キロ、九州中央自動車道の嘉島ＪＣＴ～小池高山ＩＣの約２キロが通行止めになっている。

　九州自動車道の植木ＩＣ～えびのＩＣの約１４０キロは高速道路の上を走る一般道が落下したほか、段差や陥没、ひび割れが複数箇所で発生しているため復旧に時間がかかる見込み。

　また、大分自動車道の湯布院ＩＣ～日出ＪＣＴの１７キロも土砂崩れのため復旧に時間がかかる見込み。

■港への影響
　国土交通省によると、熊本港では埠頭（ふとう）に向かう道路に約４０センチの段差が生じ、車が埠頭へ乗り入れられない状況となっている。このため、熊本～長崎・島原を運航するフェリーは１７日までの運休が決まっている。

　また、大分県の別府港では一部の岸壁が沈み使えなくなっているという。熊本県の八代港では道路が液状化したが、応急対策を済ませ船の運航にも影響はないという。