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保育士の待遇改善 解決策の「ミカタ」

2016年5月6日 19:37
保育士の待遇改善 解決策の「ミカタ」

 中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」6日のテーマは「保育士の待遇改善」。

 先月26日に開かれた「一億総活躍国民会議」の中で安倍首相は「特に保育の分野で不足している人材を確保するため、来年度から給料を含めた待遇の改善や安心・快適に働ける環境の整備などを行う」と述べた。


■対策の目的はズバリ…
 「待機児童の解消」だ。待機児童を解消するには2017年度末までに約48万人分の保育士を確保することが必要だと言われているが、現時点では約6万人足りていない状況にある。

 保育士の資格を持っている人が足りないというわけではなく、保育士の資格を持っているのに保育士の仕事に就いていない、いわゆる「潜在保育士」の数は80万人近くいると言われている。

 しかし、求人をしても、なかなか応募してもらえないといった問題がある。今年1月時点の保育士の有効求人倍率は全国平均で2.44倍。東京都にいたっては6.24倍となっている。東京都の場合だと、6か所の保育園が保育士の求人募集を出したが、1か所しか保育士を確保できなかったということだ。

 保育士として働きたい人が少ないというだけでなく、保育士として長く働こうとする人が少ないことも問題となっている。働く期間の平均は全職種では12.1年なのに対し、保育士の場合は7.6年で、長く続けてもらうのも難しいのが現状だ。


■元保育士に聞く
 保育士歴2年の元保育士「行事前とか子ども1人1人に成長におった段階ごとに書く帳票類とか、あとは親との面談とか、そういうのが毎日毎日たまるので、仕事内容的にはたくさんありました。給与がとてつもなく低くて、総支給で13~14万円だったと思います」

 保育士歴3年の元保育士「休憩も、もちろんとれないんですよね。子どもを預かるというすごい責任がある仕事なのに、この給料はどうしてなのかなって」

 元保育士らは「人間形成の大事な時期に関わる重要な仕事の割には、給料が低く、割が合わない」と話していた。


■平均給与は10万円以上低い
 2015年の厚生労働省の調査によると、全ての職種の平均給与額の33万3300円に対し、私立保育園で働く保育士の平均給与額は21万9200円と、約11万円低い。ここからさらに税金などが引かれるため、手取りはさらに低くなってしまう。

 そこで今回、安倍首相は保育士の確保のため来年度から給料を2%ほど改善したり、経験を積んだ保育士については最大月4万円程度を上乗せしたりする改善策を打ち出したわけだ。

 ただ、元保育士からは、厳しい声も聞かれた。

 保育士歴12年の元保育士「それをもらえたとしても、潜在保育士と言われる方々が戻ってくるのか、すごく疑問に感じます」

 確かにさらなる給料アップが求められるが、2%の給料アップや、経験を積んだ保育士に最大月4万円程度の上乗せをするには、計約1000億円が必要なので、さらなる財源の確保が課題になってくる。


■事務作業の軽減
 他に検討すべき解決策はあるか。東京都が2014年に公表した保育士実態調査の報告書によると、「給与の改善」に加え、保育日誌の作成や道具の準備などといった「事務・雑務の軽減」を求める声も多いことが分かっている。

 保育士資格を持たない短時間勤務の保育補助者を活用することで、こうした負担を減らすことができれば事務作業の軽減になり、保育士は、最も大事な仕事である「子どもの安全」に注力することができるようになる。

 そうすることで、保育士を必要よりも多く抱えている保育所から、保育士が不足している保育所に配置できるなど、保育士の配置についても再検討の余地が出てくるのではないか。

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