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保活なければ…“子供2人目”妨げる実態

2016年6月3日 19:59
保活なければ…“子供2人目”妨げる実態

 インターネットを中心に話題となった出来事の中から“もっと”知りたいニュースを取り上げる「news every.」鈴江奈々キャスターの「MOTTO」。3日のテーマは「保活がなければもう1人こども」。

 “保活”とは、子どもを保育園に入れるための活動のことで、子ども1人を育てる親の実に59%が「保活がなければ、もうひとり子どもがほしい」と考えている調査結果が発表され話題となっている。その実態を取材した。

■つわりや陣痛より“保活”がきつい

 「兄弟とかは欲しいなと思うんですけど、保育園探しがこの状況だと難しいというか、先が思いやられる感じです」

 こう話すのは保活を経験した30代の女性だ。去年10月時点で、保育園などに入れない待機児童の数は約4万5000人。民間団体の調査によると、保育園に入れるための保活の苦労が第2子出産への壁になっているという。このほかの声はどうだろう―

 保活した人(子ども3歳)「保育園が見つかれば復帰したいなとは思ったんですけど、とりあえずないので、復職を諦めて」

 保活した人(子ども1歳)「生後57日目から保活を始めて1歳になって入れた」「180人待ちぐらいですね」「認証保育園も20件ぐらい見たかな」

 保活については、ネット上からも「妊娠中から保活してきたけど全敗して退職」「他の市への転入も考える」「つわりより陣痛より保活がキツイ」という声がきこえてくる。

■保活コンシェルジュとは―

 そんな過酷な保活を手助けするため新たな動きが出てきている。保活は、子どもを持つ親はもちろん、社員の職場復帰をのぞむ企業にとっても大きな課題だ。都内の損害保険会社では、社員の保活を支援。去年から「保活コンシェルジュ」のサービスを導入した。保活コンシェルジュとは、契約した会社の育休社員からの電話などの相談に対し、一人ひとり実情に合わせ、保活のすすめ方をアドバイスするというもの。

 営業事務を担当している小林さんも保活コンシェルジュを利用したひとり。小林さんは、去年2月に男の子を出産し、約1年の育児休暇を経て、今年4月に職場復帰したばかり。保育園の送り迎えをしながら仕事と育児を両立させている。

■電話だけで保育園をリストアップ

 鈴江キャスター「保活コンシェルジュを利用されてどんなところが助かりましたか?」

 小林さん「正直言って何から始めていいのかわからなかったり」「子どもを育てながらですと、保育園を探したりすること自体が、とても時間がかかって大変だったので、電話で条件だけ伝えるとリストアップしたものが届いて、とても便利なサービスだと思いました」

 職場復帰できたのは保活コンシェルジュの存在が大きかったという。保活コンシェルジュとはどんな人たちなのだろうか

■十分コストに見合うサービス

 愛媛県にある福利厚生業務を扱う会社「ベネフィット・ワン松山カスタマーセンター」。このコールセンターでは多くの人が業務に対応している。

 保活コンシェルジュ・石崎知子さん「ご希望のエリアだったり、お預けさせる曜日、時間帯などより詳しい情報をお聞きして私どもで保育園探しのお手伝いをさせていただいてます」

 保育園の方針や最新の空き状況など、1件1件電話で問い合わせて助言している。ここの保活コンシェルジュは現在15社の企業と契約していて多いときは1日50人の応対をしているという。では、企業が保活コンシェルジュを導入したワケとは―

 三井住友海上 人事部・馬場真希子さん「復帰できない社員が徐々に増えてきているという状況がありました」「育休期間が延びるということは、本人と会社にとって大きな損失となっています」「保活コンシェルジュのコストは十分に見合うものだと考えています」

 他にも、育休に入る前の社員にも保活への準備を聞き取りするなど復職をサポートしているという。