天皇陛下の「お気持ち」受け宮内庁は
天皇陛下は8日午後3時、「生前退位」をめぐり「お気持ち」を表明された。陛下の「お気持ち表明」を受け8日午後、宮内庁では長官が記者への説明を行った。
宮内庁の風岡典之長官は、公表を考え始めた時期について、去年から今後の象徴のあり方を公にするのがふさわしいと考え、陛下の考えが深まり、準備が整った今の時期になったと話した。
陛下は加齢現象を経験し、八十歳に近づいた5年ほど前から考え、当時の宮内庁長官などにも、どうするのが良いかという気持ちを伝えていた。
皇后さまも、ビデオメッセージの収録には少し離れたところから立ち会い、短時間で収録は終わった。
健康面で特に変化があったということではないという。
天皇陛下の「お気持ち表明」は、憲法に定められた立場から制度には直接触れないという、いわば制約があるものだが、言葉は慎重に何度も練られたということで、生前のうちに天皇の位を譲りたいという思いが強く伝わるものとなった。
陛下の思いは今年に入ってより強くなったということが取材で分かっているが、「象徴天皇として務められてきた陛下にしか分からないお気持ちを述べられる」とある宮内庁幹部が話していた通り、昭和天皇が亡くなった際に自身の経験から感じたであろうこと、即位後28年、務めを果たす中で抱いた思いが語られた。
国民や残された人たちに負担を掛けたくない気持ちから、後を引き継ぐ皇太子ご夫妻のことも気遣う内容となっている。
陛下は、「国民の理解を得られることを、切に願っています」と締めくくり、一礼された。
一石を投ずることになった陛下のお気持ち表明。天皇が高齢となった場合にどうすることが「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていく」ことになるのか、考える舞台は国民と政治に移された。