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鎌田實氏注目3本「音楽が人生変えた映画」

2016年8月25日 19:08
鎌田實氏注目3本「音楽が人生変えた映画」

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。25日のテーマは「音楽が与えるモノ」。諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。

 医師であり作家でもある鎌田さんだが、いくつもの映画会社から評論を求められるほどの映画通でもある。そんな鎌田さんがこの夏の注目作「音楽が人生を変えた映画」3本を紹介する。


■ブラジルスラム街の子ども楽団

 1本目は、オリンピックが行われていたブラジルの映画「ストリート・オーケストラ」。

 南米一の交響楽団の最終審査に落ち、挫折したバイオリニスト。生活費を稼ぐため、行きついたのはスラム街の学校だった。

 生徒たちは問題児ばかり。しかし、バイオリニストから音楽のすばらしさを教わっていくにつれ、生徒たちは徐々に熱心に取り組むようになっていく。その矢先、校長から告げられたのは「演奏会で最高の演奏ができなければ、学校の存続は難しい」という厳しい現実だった。

 この映画は、ブラジルスラム街の子どもたちによって結成された交響楽団誕生の実話を基にしている。

 演奏会までの間に思わぬ事件が待ち受けている。しかし、子どもたちが成長するだけでなく、教師も子どもたちから多くのことを学んでいく。教えるということは教えられること。支えるということは支えられること。とても感動的な作品だ。


■“世界最高齢”のダンスチームの夢

 2本目はドキュメンタリー映画「はじまりはヒップホップ」。

 ニュージーランドののどかな島で隠居生活をするお年寄りたち。挑戦しているのはヒップホップダンス。世界最高齢のダンスチームの夢は、アメリカ・ラスベガスで行われる世界最大のヒップホップダンス選手権に出場することだ。

 耳慣れないリズムに、昔のようには動かない体。ラスベガスまでの旅費もパスポートもない。多くの問題を抱えながらも、夢を目指して奮闘するお年寄りたちの姿が描かれている。

 このダンスチームの挑戦が実際にテレビなどでも報じられ、若い有名アーティストから曲を提供したいという話も舞い込んでくる。10代の若いダンサーたちとの交流も見どころで、人間はいくつになっても輝けることを教えてくれる作品だ。


■“伝説”ジャニス・ジョップリン 孤独な素顔

 3本目は来月公開のドキュメンタリー映画「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」。

 1970年に27歳の若さで死去したジャニス・ジョップリン。アメリカ・テキサスの田舎町で生まれたジャニスは、容姿へのコンプレックスや内気な性格から孤独な少女時代を過ごす。

 そして、ブルースに出会い、圧倒的な歌唱力でスターとして注目されるようになってからも、孤独な胸の内を家族や恋人に宛てた手紙にしたためていた。

 ロックスターとしてだけでなく、ひとりの女性としての素顔に迫る内容となっている。

 ジャニスは亡くなる前に出席した高校のクラス会でも同窓生たちから受け入れられなかった。

 傷つきながら、孤独に押しつぶされそうになりながらも、何度も何度もステージへ上がり、すばらしい歌声を残していく。1960年代のアメリカ、激動の中を駆け抜けたジャニスの歌声に耳を傾けてほしい。


■音楽と勇気

 今回は、音楽をテーマにした映画に注目した。映画を通して、音楽は世代を超える力があることがよくわかった。そして、いろいろな世代に生きる勇気を与えてくれていることもわかった。

 「生きているってすばらしい」と思わせてくれるこれらの映画を、残暑から解放されて映画館で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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