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死に至ることも…梅雨のカビと病気に注意

2016年6月30日 18:51
死に至ることも…梅雨のカビと病気に注意

 梅雨のジメッとした季節、実はこの時期に気をつけたい病気がある。キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。30日のテーマは「カビに注意」。この時期に増えやすいカビと、それが原因で起こる病気について、諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。


■カビは知らないうちに吸い込んでいる

 カビは数万種類以上あると言われている。カビのほとんどは花粉よりも小さく、私たちは気がつかないうちに毎日1万個以上吸い込んでいると言われている。目に見えないカビが、この空気中にも飛んでいる。


■アスペルギルス症

 カビが原因で起こる病気はいくつかあるが、中でも「アスペルギルス症」という病気に注意が必要だ。アスペルギルスという種類の菌は、約300種類あって家の中にいる。その中の一部(1~2割)に強い感染力があり、子供や高齢者など免疫力が低い人は注意が必要だ。この病気のポイントは―

・肺に感染することが多く、感染すると微熱が続きせきやたんが出るなど、風邪に似た症状が出る。

・感染するとカビが肺組織を壊しながら増える。


■夏型過敏性肺炎

 そのほかにも、「夏型過敏性肺炎」に注意してほしい。トリコスポロンというカビがきっかけで、肺にアレルギー性の炎症を起こしてしまう病気で、アスペルギルス症と同じく風邪と症状が似ていて、微熱や乾いたせきが出る。

 この病気の怖いところは、毎年繰り返してしまう可能性があるというところだ。千葉大学真菌医学研究センターの亀井教授によると―

・夏型過敏性肺炎は梅雨が始まる6月~10月に発症する事が多くカビが自然と減るころに症状が和らぐ。

・そこで、完治したと勘違いしてしまう人が多いが、それは間違い。また翌年の6月、カビが増え始めると同時に症状が出てぶり返す事がある。


■放っておくと死に至るケースも―

 「アスペルギルス症」や「夏型過敏性肺炎」を放っておくのは危険だ。アスペルギルス症の場合は、肺に穴があくこともある。一方、夏型過敏性肺炎は、毎年繰り返すと肺が硬くなって、呼吸ができなくなり、どちらも重症化すると死に至るケースもある。

 ただ、アスペルギルス症の場合は、早いうちにわかれば薬が効く。夏型過敏性肺炎もアレルギー反応を抑える薬が効く。2、3週間症状が長引くなら、風邪だと思い込まずにカビによる病気を疑うことが大切だ。


■住まいのカビ対策がポイント

 これらの病気は、家の中でできる予防がある。それがカビの除去だ。たとえば、お風呂場。日本ハウスクリーニング協会によると、風呂場のドアを“少し”開けて、換気扇は“翌朝まで”まわして、十分に乾燥させると効果的だという。ドアを全開にしてしまうと、他の部屋に湿気を広げてしまうので、少しだけドアを開けて空気が巡るようにすることがコツだ。

 また、カビが気になる洗濯機はふたを開けっ放しにして 自然乾燥させることが重要。げた箱は、靴が湿気を含んでいることから、脱いでもすぐにしまわず、一晩おくなど湿気を十分にとることが大切だ。

 今回のポイントは「乾かして清潔に」。カビの病気を防ぐにはカビを増やさない事が大事。カビが好む環境を作らないよう家の中をしっかり乾かして、清潔に保つことが大切だ。