JAL「都道府県バッジ」狙いと戦略は?
インターネット上で話題の出来事を日テレNEWS24・デジタル編集チームが取材する「Hot Word」。5日のテーマは「都道府県バッジ」。
10月3日、「都道府県バッジ」という言葉を含んだツイートが多く拡散され、ネット上で話題になりました。
「都道府県バッジ」は、今年7月から日本航空・国内線のフライトで、客室乗務員が身につけています。正式名称は「ゆかりバッジ」で、自分の出身地だけではなく、自分にとって“ゆかり”のある土地の都道府県のバッジを付けています。
何のために、このバッジを客室乗務員が付けているのでしょうか。実は、ゆかりバッジはお客さんと会話をするためのツールとして作られました。
都道府県別のゆかりバッジを見て、お客さんがその土地の出身だったりすると、つい話しかけたりして話が弾んだりすることもあります。
ゆかりバッジをキッカケに、客室乗務員とお客さんが都道府県にまつわる話をすることで、快適な空の旅を楽しんでほしいという狙いがあるんです。
さらに、このゆかりバッジを見て客室乗務員と話をしたお客さんは、記念としてゆかりバッジのデザインが描かれたシールをもらえるんです。
この取り組みに対し、ネット上では様々な反応がありました。「楽しそう!」「面白い取り組み!」といった反応のほか、実際にバッジを見たけれども、話をしなかった人からは「なるほど、そういうことだったか!」「早めに知りたかった…」という反応もありました。
日本航空は、「ゆかりバッジ」について、ツイッターやフェイスブックなどSNSでの拡散を狙い、あえてプレスリリースなど報道発表をしなかったそうです。
なぜ、日本航空はこのような取り組みを始めたのでしょうか。日本航空の西田寛さんによると、客室乗務員の中から「どうしたらもっとお客様とコミュニケーションを取ることができるのか」という提案があったことがキッカケだったそうです。
その背景には最近、インターネットの普及などにより進んだチケットレス化があるんです。バーコードが書かれた紙があればカウンターのスタッフからチケットを発券してもらう必要がなく、搭乗までスムーズに進みます。
調査によると、国内線の7割のお客さんがチケットを予約してから飛行機に乗るまでの間、日本航空のスタッフと会話をする機会がないそうです。このことによって、乗客のコミュニケーションが減ってしまったという側面があるんです。
ところが、ゆかりバッジの取り組みでお客さんと会話のキッカケが作れるようになったそうです。日本航空は客室乗務員と乗客のコミュニケーションを促進するため、今後も、こうした取り組みを積極的にしていきたいということです。
別の効果もありました。ゆかりバッジのおかげで、客室乗務員同士のコミュニケーションが図りやすくなったそうです。日本航空では、約4000人の客室乗務員が働いているため、互いに仲良くなるキッカケになっているそうです。