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ノーベル賞作家“被災”語り継ぐ大切さ訴え

2016年11月29日 0:24
ノーベル賞作家“被災”語り継ぐ大切さ訴え

 去年、ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさん(68)が来日して講演し、福島の原発事故に触れて、被災者の経験を語り継ぐ大切さを訴えた。

 アレクシエーヴィチさんは、旧ソ連のアフガニスタン侵攻やチェルノブイリ原発事故などをテーマに、犠牲者の遺族や被災者など、一貫して市井に生きる人々を取材し、作品にまとめたことが評価され、去年、ノーベル文学賞に選ばれている。28日午後、東京外国語大学で講演し、次のように語った。

 アレクシエーヴィチさん「チェルノブイリは新しい現実でした。私たちの知識はおろか、想像をも超えました。これは戦争なのだと思いました。未来の戦争はこうやって始まる。私たちの知らない新しい戦争なのです。私は時代を追いかけます。人を追いかけます」

 また、学生との質疑では、福島第一原発の事故で今も避難生活を送る被災者と対話したことに触れ、「チェルノブイリで見聞きしたことと同じで、国は人の命に対し、全責任を負わないのだと感じた」と述べた。そして「国に対し、被災した人々が団結して、自分たちの悲劇を尊敬するように訴えるべきだ」などと話し、被災者の経験を語り継ぐ大切さを訴えた。