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辺野古移設は進ちょく不透明

2017年1月1日 14:56
辺野古移設は進ちょく不透明

 沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先とされる名護市辺野古で、国は2017年、本格的な海の埋め立てに乗り出す方針だが、沖縄県は様々な権限を駆使して抵抗する見通しで、移設が順調に進むかは予断を許さない。

 辺野古の埋め立てをめぐり沖縄県と国が争っていた裁判では、2016年12月20日に、最高裁で沖縄県敗訴の判決が確定し、国はその1週間後、埋め立てに向けた作業を約9か月ぶりに再開した。

 国は年明けから、工事海域を囲むフロートやオイルフェンスの設置と併せて、未調査地点が1か所残っていた海底のボーリング調査を完了させ、春頃には、埋め立ての護岸工事に着手したい考え。

 これに対し、「あらゆる手法で辺野古移設を阻止する」との姿勢を崩していない翁長知事は、辺野古の工事の阻止に向けた知事権限の洗い出しを進めている。

 このうち、沖縄県が有力視する知事権限は、1.埋め立てなどで海底の形状を変える際に必要な「岩礁破砕許可」の更新、2.埋め立て海域に生息するサンゴを移植するための「特別採捕」許可、3.工事を進める際に必要となってくる設計概要の変更申請の審査など。

 ただ、国側はこうした知事の権限を無効化する方策についても検討を進めているほか、翁長知事の対応によっては工事を不当に阻む権限乱用だとして沖縄県に対して損害賠償請求を行う考えがあることを政府高官が明らかにしている。よって今後、知事の権限行使が実際にどの程度、工事に影響を与えられるかは不透明。

 一方、沖縄県が埋め立てを阻止するためのもっとも強力な権限として視野に入れているのが、仲井真前知事が行った埋め立て承認の「撤回」。

 翁長知事による埋め立て承認の「取り消し」については、最高裁判決で違法性が確定し、知事は取り下げを余儀なくされたが、「撤回」は承認後に生じた事情を理由として、あらためて前知事による承認の効力を失わせるもの。

 沖縄県は、前知事が埋め立てを承認した際、国と取り交わした「留意事項」の中で国に義務づけられた工事開始前の「事前協議」が不十分であることなどが、法的に「撤回」の根拠となりうるかを今後、慎重に検討する考え。

 また、翁長知事は2017年2月にも訪米して、トランプ新政権の要人らと面談し、辺野古移設の断念や、2016年12月に沖縄で大破する事故を起こした海兵隊の新型輸送機MV-22オスプレイの沖縄への配備撤回などについて、直接、働きかけたい考えで、知事が内外の世論をどのように喚起できるかも、移設問題の帰すうに影響しそうだ。