宮崎の観光のシンボル「鬼の洗濯板」の謎を調査! 波状岩はどうやってできた? キノコみたいな岩の形はどうやってできた?
宮崎有数の観光地、青島。
その一帯に広がる通称「鬼の洗濯板」は、国の天然記念物に指定されて今年で90年。
宮崎が新婚旅行ブームに湧いた1960年代から1970年代にかけて、多い時で37万組のカップルが訪れ、青島はその定番スポットの一つとなっていました。
今回は、県民にとっても親しみのある青島の「鬼の洗濯板」について、宮崎県総合博物館の学芸員、赤崎広志さんに解説していただきました。
鬼の洗濯板?洗濯岩?どっちが正しい?
実は地理とか地質の世界では、昔から洗濯岩を使っていました。
国土地理院のホームページでは今でも「洗濯岩」と書いてあります。
県議会では洗濯板の方が言葉としての通りがいいので、観光の業界では「洗濯板に統一しましょう」ということになっています。
青島一帯に広がるこの波状の岩は一体どのように作られたのでしょうか?
天然記念物に指定されていて、正式な指定名を「青島の隆起海床(りゅうきかいしょう)と奇形波蝕痕(きけいはしょくこん)」という名前で呼びます。
洪水などで泥と砂が一緒に海の深いところへ落ちていく時に、砂の方が粒が大きいので先に沈みます。
その後に泥が溜まると地層が出来上がります。
陸側が持ち上がり地層が斜めになるということで隆起が起こります。
その後、海の波で削られ平らになります。
潮の満ち引きで水が上がったり下がったりする時に柔らかい泥岩だけが削られ、砂岩が飛び出した鬼の洗濯岩が出来上がります。
波が削るスピードと流気するスピードが絶妙なバランスを取っているのがこの場所。
日本でもこんなに広く波状岩が見えるのはここだけということです。
波の満ち引きは1日に2回ありますが、それは地球と月のお互いの引力が関係しています。
お互いの引力によって地球上の海水が引き伸ばされます。
そして地球が1日に1回自転することで満潮と干潮が2回ずつ起こるんです。
潮の満ち引きが長い年月をかけて作り出した地球の絶景です。
鬼の洗濯板に隠されたミステリーを解明!
青島神社へ橋を渡ってすぐ、よく見ると周りとは一見違う岩の層が・・・
砂岩と泥岩の他に、ザラザラしてキラキラ光るものが入っている岩があります。
これは火山灰が固まった業界岩の層で、年代を測定することができます。
これを調べることでこの辺の洗濯岩がいつ溜まったものなのかということが分かりました。
この中のジルコンという鉱物を分析して、650万年前ぐらいに溜まったのだろうということが分かりました。
鬼の洗濯板に生えるように存在する変わった形の岩・・
キノコ岩と呼ばれているコンクリーション。
生き物が腐った時に石灰分ができ、その石灰分で固いボールのような砂岩ができたので、周りが削れてもその部分だけ削り残って宙に浮いてキノコのようになりました。
数週間とか1カ月ぐらいでできたと言われてます。
650万年前の海の底の環境をこの中にギュッと閉じ込めてしまったタイムカプセルみたいなものなのだそう。
この洗濯板を使う鬼がいるとすれば、その鬼の身長は?
洗濯板の10の凹凸を基準に計算してみると、洗濯板は10センチ、鬼の洗濯板は2000センチ、洗濯板の200倍。
身長を基準にして200倍してみると 鬼の身長は330メートルとなりました!( 東京タワーと同じくらい)
- 【話:宮崎県総合博物館の学芸員 赤崎広志さん】
青島は、鬼の洗濯板の他にもコンクリーションがあったりセイコン化石という昔の生き物の巣穴があったり、火山灰もあります。いろいろな地質の事象がたくさん詰まった宝石箱のような青島なので、楽しんで観察してみてはいかがでしょうか。