台風の土砂災害で妻と息子とベトナム人技能実習生を失った男性の再起「体の動く限り頑張る」再び技能実習生受け入れ建設業を続ける
建設業「相生組」の相生秀樹社長は、4年前の土砂災害で妻の勝子さん(当時68)と長男の泰孝さん(当時39)ベトナム人従業員2人を亡くし、その後に母親も立て続けに亡くしました。
2019年、相生組はベトナムから2人の外国人技能実習生「チャン コン ロンさん(当時22)」と「グエン ヒュー トアンさん(当時21)」を迎えました。
2人は会社の寮で共同生活を送りながら 仕事にも一生懸命に取り組んでいました。
2人の実習生を迎えておよそ1年後の2020年9月6日、大型で非常に強い台風10号が九州を襲い土砂災害が発生。
相生さんの会社の事務所兼住宅は大量の土砂に押し流されました。
当時建物には、相生さんご夫婦と災害対応のため事務所に詰めていた息子泰孝さん、そして技能実習生の2人が避難のため身を寄せていました。
相生さんは倒壊した建物から自力で脱出し一命を取り留めましたが、 妻の勝子さん、息子泰孝さん、そしてベトナム人技能実習生の2人は土砂に流され、行方不明となりました。
発生翌日から総勢約2000人による捜索が2週間行われましたが、妻の勝子さん、息子泰孝さん、チャン コン ロンさんは見つかりませんでした。
相生社長は「当時のことはあまり思い出したくないが、その時は何をしていいのかわからず、これから先どうすればいいのか、いろいろと悩んだ」と言葉少なに話します。
現在は、亡くなった4人のため、そして従業員の生活を守るためにも仕事を続ける決心をし、再び「相生組」の社長として従業員25人と共に仕事を続けています。
(2022年の台風14号被害により崩壊した椎葉村「村道木浦線」の災害復旧工事現場)
相生組では2023年に再びベトナムから迎えた外国人技能実習生「イーカン アコンさん(27)」と「ファン ヴァン ザンさん(21)」が働いています。
近年椎葉村では、人手不足や従業員の高齢化が問題となっています。
相生組でも従業員の高齢化が進み、村内で若者の人材が集まらず人手不足が進む中、外国人技能実習生に頼らざるを得ない現状があります。
ベトナム人技能実習生は鹿野遊地区の社宅で自炊しながら3年間共同生活します。
- 【話:相生組 相生秀樹社長】
毎日を一生懸命に生きる。一人でも頑張るという気持ちでやっています。自分が住んでいる椎葉村に少しでも何か貢献できればと、できることは何でもしてやろうという思いはいつも持っています。
相生組では、12月にも新たにベトナム人技能実習生を2人受け入れる予定で、相生社長は「体の動く限りは頑張りたい」と話されていました。