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熊本地震、復興に欠かせない“一つのカギ”

2017年4月13日 18:25
熊本地震、復興に欠かせない“一つのカギ”

 熊本で発生した一連の地震から15日で1年になる。諏訪中央病院・鎌田實名誉院長は先月、熊本城と、南阿蘇村にある美術館を訪問、復興に欠かせない大切な「一つのカギ」が見えてきた。

 屋根瓦が崩れ落ちたままの熊本城では今月から天守閣の修復工事が始まったものの、周辺の石垣の一部は崩れたままの状態。その姿は、ほとんど震災当時から変わっていない。

 鎌田さんの訪問時は週末ということもあり、観光客の姿も多く見られた。

 鹿児島からの観光客「結構来てたので、大好きで(今の状態は)さびしいですね」

 神奈川からの観光客「思ったよりひどいですね。特に石垣の崩れ方が。その辺を見て、びっくりしましたね」

 熊本城総合事務所の梅田雄介所長補佐(取材当時)は「おそるおそる熊本城見たら、うわ~っていう感じだったんですけど、本当に今はもう『皆さん来てください』というかたちで、全然途切れずにお客さんが来ていただいてるような」

 鎌田さん「それはありがたいですか」

 梅田さん「ありがたいですね。熊本市内でご飯を食べていただいたりとか、町の元気につながっていきますので」

 熊本城には今も立ち入り禁止になっている区域が多いものの、「今の熊本城を応援してほしい」と話していた。

 震度6強を観測した南阿蘇村にある「葉祥明阿蘇高原絵本美術館」。館長の葉山祥鼎さんは、鎌田さんと10年以上の親交がある。

 この美術館には葉山さんの兄で絵本作家・葉祥明さんの作品などが展示されているだけでなく、広大な庭からは阿蘇の自然を楽しむことができるようになっている。

 去年4月の地震では、アトリエの中の大切な作品も散乱し、敷地の一部に亀裂が入ったため、休館。去年8月には再開したが、南阿蘇村は阿蘇大橋が崩落したこともあり、観光客は大幅に減っている。

 しかし、迂回(うかい)ルートを熊本市内から1時間半、熊本空港からは45分ほどで美術館にたどり着くことができる。震災前より多少時間がかかるが、現在は問題なく通行することができるようになっている。

 葉山さんが特に気に入っているというツリーハウスから見えるのは、庭の先で崩れた崖。葉山さんによると、美術館の庭は無事だったものの、県内には崖崩れなど被災の爪痕が残っているところも多いという。

 葉山さん「復興した場面をですね、見てもらってもね、あれ何もなかったじゃないですかって言われるんだけども、もっともっと阿蘇とかね益城に行けば、まだまだひどいところ、たくさんありますから。だから、ぜひそういうところを見てほしいですよね」

 熊本城は大きな被害を受けたが、わずかな石垣で何とか崩れずにいるやぐらなどの状況も見ることができる。

 これから石垣を一つ一つパズルのように積み直していくわけだが、必ず熊本城は復興していく。ぜひ、復興へ向かう「今しか見られない熊本」を実際に見ておいてほしいと思う。

 一方で、南阿蘇は温泉の湧くリゾートだ。おいしいレストランや美術館もある。震災後、本当にお客さんが少なくなってしまった。南阿蘇に住んでいる人たちは復興に向けて頑張っているが、観光客が来てくれないことで経済的にも精神的にもダメージを受けている。

 阿蘇山麓一帯には、これからの美しい光景が広がっていく。今こそぜひ、熊本を訪れてみてはどうだろう。