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都会の無人島「鳥の島」を知っていますか?

2018年7月16日 20:21
都会の無人島「鳥の島」を知っていますか?

東京湾に架かるレインボーブリッジの下に、知る人ぞ知る無人島がある。その名は「鳥の島」。カメラもほとんど入ったことのないこの島を一大観光名所にしようというプロジェクトが動き始めている。この謎の島には一体、何があるのだろうか――

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お台場、レインボーブリッジの近くには、実は小さな無人島が複数存在している。そのうち、中央に位置する全長300メートル程度の細長い島は、昭和初期に防波堤として人工的につくられ、これまでほとんど人の手が入ることなく放置されてきた。多くの鳥がすみついたことから「鳥の島」と呼ばれている。

お台場からボートに乗り込み、東京湾を進むこと約10分。海の調査活動を行う海洋少年団やボランティアの人たちと共に、特別な許可を得て「鳥の島」に初めて足を踏み入れた。

草木が生い茂り、手つかずの状態。砂浜を覆い尽くす山のようなゴミ。ほとんどがペットボトルやファストフードの容器などだった。子供たちが掃除を敢行すると、中にはブラウン管テレビまで落ちていた。なぜ、立ち入り禁止の無人島にテレビが捨てられているのだろうか。

港区海洋少年団・榎本茂団長「漂流ゴミですね、全部。ゴミはいっぱいたまっちゃいますね。こういう活動(掃除)やらないと」

海に捨てられたゴミが波に乗って流れ着き、「鳥の島」の環境汚染につながっていた。この日、回収したゴミは数十袋にも及んだ。

島の内部に足を踏み入れると、現れたのは都会のけん騒とかけ離れたジャングルのような密林だった。ここで珍しい鳥の巣のようなものを発見。高さは4メートルほどで、都会にはほとんどすみつかない水鳥、カワウの巣とみられる。

ボランティアの小学生(9)「鳥の巣がいっぱいあって、あっち(陸)にないモノがこっち(島)にあった」

さらに足場の悪い中を進むと、島の先端まで一直線に開けた空間があり、両サイドには細い木が植えられていた。実は、この場所にはある“秘密”があった。

港区海洋少年団・榎本茂団長「(Q.ここに植えられた木は?)もともと、森のようになってたんですけど、島の4分の3の木を伐採して桜を植えたんですね」

実は3年前、東京都の団体が許可を得た上で、「鳥の島」に約370本の桜を植えた。お台場に新しい桜の名所をつくり、水上観光の魅力向上を図る一大プロジェクトで、完成は20年後の2038年だという。

続いて向かったのは「鳥の島」の北に位置する、ひし形の無人島。江戸時代から手つかずの島で「第六台場」という名前が付いている。「第六台場」は、江戸時代、ペリーの黒船来航後、外国船の再来を恐れた幕府が設置した人工島の一つで、砲台が設置され、学術的にも貴重な存在のため、立ち入り禁止となり、国の史跡に指定されている。

現在、まるで密林のようになった「第六台場」は、カワウやコサギなど600羽を超える水鳥たちの貴重なすみかになっているという。

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歴史ある、お台場の無人島はかつての役割を終え、今、生まれ変わりつつあった。