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“統一教会”の解散命令請求へ 元信者「解散だけで終わらせてはならない」 現役信者「納得できない」

2023年10月12日 22:52
“統一教会”の解散命令請求へ 元信者「解散だけで終わらせてはならない」 現役信者「納得できない」

政府は12日、世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”の宗教法人格を剥奪する解散命令を請求すると正式に決定し、13日にも請求するとしています。元信者は「解散だけで終わらせてはならない」と語りました。

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12日、文部科学相が決断をくだしました。

文化庁を所管する盛山文科相
「明日以降、準備ができ次第、東京地方裁判所に解散命令請求を行いたい」

世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”の宗教法人格を剥奪する解散命令の請求を13日にも行うと発表しました。公共の福祉を害するなどとして解散命令がだされれば、「オウム真理教」「明覚寺」に続き3例目となります。

この様子を見ていた元信者の男性に話を聞きました。両親は現在も教団への献金を続けています。

宗教2世の元信者 両親が教団に多額の献金 もるすこさん(30代)
「まずは安堵(あんど)感がひとつあります、やっとここまで来たなと。(解散命令請求で)ひとつ後戻りできないところまで結果として残った」

一方、現役の信者は――

現役2世信者 小嶌希晶さん(28)
「現役信者で話を聞いてもらった人がほとんどいなくて、解散請求と聞くと不公平さとか、納得できない思いにすごくなる。自分の意思で考えて、選んでそういう人生を生きている」

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去年7月に起きた安倍元首相の銃撃事件をきっかけに教団と政治家との関係が次々と明らかになり、高額献金や霊感商法など教団被害者を救うための救済法も成立。さらに文化庁は去年11月から質問権を行使し、解散命令の判断基準となる“著しく公共の福祉を害する”証拠集めを開始しました。

教団を問題視する動きが徐々に強まる中、9月26日に公開された映像には、教団トップの韓鶴子総裁の姿がありました。

“統一教会” 韓鶴子総裁
「私が『ワンオンマ(王なる母)』です。母とひとつにならなければなりません」

韓国に集められたヨーロッパの2世信者が、歌を披露する様子などが映されていました。

さらに、鈴木エイト氏によると、9月中旬には日本全国の2世信者約6000人も韓国の教団施設に集められ、韓鶴子総裁が「今、日本は難題を抱えている。君たちが正々堂々と真実を明らかにしなさい。君たちは世を救い、日本を救う“特攻隊”だ」と2世信者を“特攻隊”に例え、命がけで日本の教団の状況を変えるよう発言したというのです。

この思いをくみ取ってか、先週、日本の信者の元に届いたのは、日本法人の田中会長からとして送られてきたLINEです。「ネット署名はギリギリまで取り組んで頂き、一人でも多くの賛同署名をお願い致します」と、解散命令請求がされないよう、最後の最後まで嘆願書や署名を行うよう指示が書かれていました。

教団によると、10日時点で8万をこえる文化庁への嘆願書と署名が集まったといいます。実際に嘆願書を書いたという現役信者は、解散命令請求について――

現役2世信者 小嶌希晶さん(28)
「率直に悲しいという思い。結果が出るまで(時間が)かかるって聞いているので、どれだけ私たちが勘違いされているものをどれだけ覆せるか、それって口では伝わらないから行動で示していく」

一方、2世の元信者は――

宗教2世の元信者 両親が教団に多額の献金 もるすこさん(30代)
「オウム真理教の時のように解散だけで終わらせてはいけない。信者たちをある種、マイノリティーを見るような目で見ていってほしい。社会に復帰していけるようなサポートを(世間の人が)理解してほしい」

親が1億円以上献金し、VTuberとして教団のあり方を訴える元2世信者にも話を聞きました。

VTuberデビル 元2世信者(30代)
「どうすれば“統一教会”問題を完全に解決できるか、国や日本全体として取り組まないとダメだと思う」

そして今、日本に必要だと話すのが――

VTuberデビル 元2世信者(30代)
「『もし、おうちでこういうことがあったら虐待なんだよ』って。こういう教育が小学生くらいから必要なんじゃないかと。まっすぐに生きられない子供時代を送ってしまうと、ここに疑問がわかないんですよね、子供って」

13日に請求が行われれば、教団と文科省、双方の意見も裁判所が聞いた上で解散命令を判断することになります。

今回の決定を受け、教団は「このような決定がなされたことは、当法人としては極めて残念であり、遺憾に思っております。私たちは国から解散命令を受けるような教団ではないと確信しております。今後は裁判において、私たちの法的な主張を行っていく予定です」とコメントしています。