【解説】「車内置き去り」どう防ぐ? 子どもの命を守るために…
送迎バスに取り残され、幼い命が失われる事故がまた起きてしまいました。このような事故を繰り返さないためには、どうしたらいいのでしょうか。
「園バスでなぜ」
「5人に1人が“放置”」
「毎年“閉じ込め”も」
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
死亡したのは、静岡・牧之原市の川崎幼稚園に通う河本千奈ちゃん(3)です。送迎バスの中に置き去りにされたとみられています。警察は熱中症で死亡した可能性もあるとみて、調べています。
バスは5日午前8時50分ごろ、幼稚園に到着しました。他の園児を降ろした後、バスは近くの駐車場に止めてありましたが、5時間以上たった5日午後2時10分ごろ、送迎の準備をしていた職員によって、千奈ちゃんは意識のない状態で発見されました。
朝の送迎時、バスには運転していた男性理事長(70代)と女性の派遣職員(70代)、千奈ちゃんを含めた6人の園児が乗っていました。この日はいつも運転している運転手が休みで、理事長が代わりに運転していたということです。
警察は6日、業務上過失致死の疑いで園に家宅捜索に入りました。管理体制に関する資料などを確認するということです。
送迎バスでの置き去りは2021年、福岡・中間市の保育園でも発生しています。当時5歳の男の子が約9時間バスに取り残され、熱中症で死亡しました。これを受けて、福岡県では独自に安全管理の指針を作成しました。子どもが乗り降りする時には、名前や人数を確実に把握するために、「名簿の確認欄にチェックする」など、具体的な手順を定めることなどが記載されています。
センサーを使って、子どもの置き去りを防ぐ動きも進んでいます。車の内装部品などを扱う三洋貿易が、2023年に国内販売の開始を目指しているのは、バスに取り付けるセンサーです。
エンジンを切った後に一定時間がたつと、呼吸する時の胸が上下する動きなどをセンサーが検知し、ショートメッセージで知らせてくれるというものですが、アメリカのスクールバスでは、既に使われているということです。
■子ども残し「離れたことある」
実は子どもを車内に置き去りにしてしまうケースは、一般のドライバーでも起きているのです。
三洋貿易は、全国の子どもを乗せて運転するドライバー2652人に調査したところ、約5人に1人にあたる583人が「直近1年間で車に子ども残したまま、車を離れたことがある」と回答しました。そのうち14人は車内に子どもがいることを認識せずに、置き去りにしていたということです。
2020年、茨城・つくば市では事件がありました。父親が子ども2人を車に乗せて長女を小学校に送った後、2歳の女の子を車に放置したまま在宅勤務をしていて、その女の子が亡くなりました。父親は約7時間後に女の子に気づき、「保育園に送っていったつもりだった」という趣旨の説明をしていたということです。