北海道地震 来年の米作りは…先見通せず
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1か月前に起きた地震は、ここに住む人々の暮らしを一変させた。長年続けてきた米作りもどうなるか分からないと、今もなお、多くの人が先の見通せない日々を過ごしている。
地滑りによって茶色の山肌がむき出しになっていた光景は1か月前とほとんど変わっていない。また、道路脇にも土砂の壁が残されたままになっている。厚真町では住宅や田畑が土砂にのみ込まれ北海道内で最も多い36人が犠牲になった。
私たちが自宅が大きな被害を受けた高齢夫婦の家で見たものは-。そこには住む家も見つからない被災者の現実があった。
5日、厚真町の農家を訪ねた藤井キャスター。至るところで土砂崩れのあとが残っている。
地震で自宅が壊れたため、今は別の場所で避難生活をしているという加賀谷さん。自宅の裏側にまわると-。
加賀谷弘子さん「亀裂があって、下がってくるから家がだんだん傾いてくるの」
地震以降、亀裂は大きくなり家が傾いて住めない状態に。
加賀谷弘子さん「びっくりだよね。一瞬にして今までの住み家が住めなくなっちゃった」「今はもう土台だけになってしまっているけどね」
白いコンクリート部分は地震前、農機具倉庫があった場所。農家を営む、加賀谷さんには大事な農機具の多くが使い物にならなくなった。
加賀谷弘子さん「(Q農業はこれから先どうする?)もうしないよ。これをきっかけにね。やめなさいということかもしれない。これからはゆっくりしようか。さみしいよね」
先の事は考えられないと話していた加賀谷さん夫婦。
加賀谷弘子さん「前を見て、後ろは振り返らないようにそうします」
厚真町では多くの人が家だけでなく、生活のかてさえも奪われた。
◇◇◇
土砂崩れによる犠牲者が多く出た富里地区。被災地では米の収穫シーズンを迎えていた。
伊部義之さん(50)「やはり楽しみの1つでありますね。種をまいて肥料まいて栽培して、さぁ収穫だというと、どんなものがとれるか喜びと楽しみではありますよね」
30年もの間、ここで米作りをしている伊部義之さん。この地震では伊部さんの自宅や水田などにも大規模な土砂崩れが襲った。自宅には奇跡的に土砂は押し寄せなかったものの、横にある農機具小屋は全壊した。
就寝中だった伊部さんと母親は奇跡的に無事だったが、自宅の周りに押し寄せた土砂の高さは、伊部さんの家の2階の高さと同じくらいまで達していたという。
伊部義之さん「こんな光景だった。これはヒドイなというか、普通の状態じゃないなと。運命と神様をこれだけ憎んだっていうのは、ちょっと珍しいんじゃないかと思いましたね」
大量の土砂が流れ込んでしまった水田だが、伊部さんは影響を受けなかった米の収穫を続けている。
伊部義之さん「導水管がかなりやられているので、稲作は無理ではないかとみています。水が来ないとどうしようもない」
自宅や農地にはまだ大量の土砂が残されている。どこに処分するか決まっておらず、町によると個人の敷地にある土砂の撤去は来月ごろにならないと始められないという。