「急病人の応急処置」を簡単に学べるキット
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「急病人の応急処置、できますか?」。心肺蘇生の普及啓発を行う一般社団法人を運営する玄正慎氏に話を聞いた。
今年4月の大相撲の巡業中、土俵に上がって挨拶をしていた京都府舞鶴市の市長が突然倒れ、女性看護師らが土俵の上で応急処置を行った。日本相撲協会の関係者が“女人禁制”の土俵から降りるよう指示したことは世間の注目を浴びた。
ただ、女性看護師らの適切な処置で市長は一命を取り留め、その後、公務に復帰している。
急病人が出た時の応急処置をめぐり、ネット上ではこんな意見が見られた。
「びっくりして、何もできなかった」
「AEDは見たことあるが、使ったことない」
「急病人に対応する知識と勇気は必要」
――この話題について玄正さんの意見をフリップに書いていただきました。
「迷わず、すぐにCPR」です。
CPRとは心肺蘇生法のことです。心肺蘇生法というのは、人工呼吸と心臓マッサージの2つなんです。
舞鶴市長のように直前まで話されていて、突然、倒れたというケース、これは溺れてしまったり、物が喉につまって窒息しての心停止ではないので、十分に今まで息をしていたので血中に酸素が残っているんですね。この場合は人工呼吸はいりません。
救急隊が来るまでの10分くらいの間は、心臓マッサージだけでいいという研究があります。ですので、心臓マッサージをすぐに始めて救急隊が来るまでやめない、AEDが来るまでやめない、そういったことが必要なんですね。
実は、そういった知識というのはなかなかみなさん知らない方が多いと思います。それを簡単に学べるキットを作りました。CPRトレーニングボトルというものです。
――ペットボトルですよね?
ペットボトルが訓練で使う人形を押したときとほぼ同じ弾力なんです。ということで、訓練で使えるということがわかりました。
これは何のペットボトルでもいいかというと違うんですね。「サントリー天然水」のペットボトルの硬さが実はちょうど良かった。実際に精密テストをしました。
それとシートを作りました。広げると人型の模様になっています。ここの中心にペットボトルを置いていただくと、それですぐに訓練ができます。
――実際にどうやったらいいか見せていただけますか。
ペットボトルをこのシートの真ん中に置いて、手を組み合わせて、手の下の部分を使って押します。人の体の真ん中に硬い胸骨というものがありまして、みぞおちに落ちるちょっと手前のところを押します。
ペットボトルに対して垂直に上から5センチ押します。これを1分間に100~120回のスピードで押していく。これが心臓マッサージなんですね。
このCPRトレーニングボトルはいま、わかりやすい動画を作りまして公開したばかりです。これを見ていただけたら、たくさんの方に簡単にできることが伝わるんじゃないかなと思います。
――これでしたら自宅で身近に、1分1秒を争う応急処置の訓練をできるということですね。
【the SOCIAL opinionsより】