横断歩道渡ろうと…“死角バス停”危険検証
今年8月、横浜市の路上でバスから降りて横断歩道を渡ろうとしていた小学5年生の女の子が軽ワゴン車にひかれて死亡した。事故から2か月。身近に潜むバス停の危険を検証した。
今月。私たちの車が向かったのは横浜市内のとある交差点。狭い道路を直進すると目の前に1台の路線バスがある。バスとすれ違う際、運転席から見るとバスの後方は死角になっていて、後方に何があるのかは分からない状態だった。
2か月前の夏の夕方。住宅街の中にある路線バスのバス停近くで、小学5年生の命が突然、奪われた。警察によると8月30日の午後4時半ごろ、横浜市西区の信号のない交差点で、近くに住む小学5年生の女の子が軽ワゴン車にひかれ死亡した。外出先からバスで家に帰る途中だったという女の子。一体、何があったのだろうか。
事故が起きた現場は、住宅街の中にある五差路の交差点。午後4時半ごろ、女の子を乗せたバスがバス停に到着。バスを降りた女の子は、停車中のバスの後方にまわり、横断歩道を渡ろうとしたところ軽ワゴン車と衝突した。警察は、軽ワゴン車を運転していた電気設備工の35歳の男性を過失運転致傷の疑いで逮捕し、その後、在宅で捜査を続けている。
身近に潜む死角が招いた今回の事故。近くに住む人たちは、以前からこの死角を生んでしまったバス停の危険性を感じていたという。
現場近くに住む人「バスが止まるとどうしても見づらくなったり、結構複雑な道路なので信号があるわけでもないし、子どもが飛び出しやすいところではあったので、危ないなと、正直子どもたちで(渡るのはと)思った。事故は聞いて衝撃を受けました。ひとごとじゃない」
現場近くに住む人「(Qどんなところが歩いていて怖い)バスを降りた時にバスが出発する前に渡ろうとすると、こっち(反対車線)から車がきて危ないなと思うことはある」
バス停に到着したバスは完全に横断歩道をふさいでいる。
事故を受け横浜市は、約2600か所ある市営バスのバス停を調査。その結果、今回のバス停を含む18か所が危険な“死角バス停”と認定された。
国は1997年に、「信号機のない横断歩道はバス停から30メートル以上離れた場所に設置する」などとした基準を定めたが、今回のように基準ができる前に設置されたバス停は、全国に数多くみられる。道路上の構造が問題視される一方、近くに住む人たちからは運転手のマナーに対する声も挙がった。
現場近くに住む人「普通はバスが止まっていれば、バスの陰から人が出てくることは容易に想像できる。自動車学校で習っていること。交差点うんぬんというよりも、それも一因ではあるんでしょうが運転手のマナーが落ちてる」
道路交通法は、横断歩道を渡ろうとする人の有無が分からない場合、ドライバーに徐行を義務づけている。身近に潜む“死角バス停”の危険。命を守るための運転が求められている。