睡眠時無呼吸症候群で“運転業務”罰則は?
神奈川県横浜市で路線バスが乗用車に追突し、高校1年生の男子生徒が死亡するなどした事故で、バスの運転手が「貧血のような状況になった」と事故直後に話していたことがわかった。
バス運転手は、睡眠時無呼吸症候群で治療を受けていたことが明らかになった。
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睡眠時無呼吸症候群は、日本呼吸器学会によると成人男性のおよそ3~7%、成人女性のおよそ2~5%もみられる症状。
睡眠時無呼吸症候群のバス運転手が客を乗せることに問題はないのかというと、運転や客を乗せる業務が禁止されているわけではない。
国土交通省は2003年以降、マニュアルをつくり、運行会社に指導している。たとえば、運転手が睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、どのような勤務にするか医師と相談して慎重に対応する。点呼時に睡眠時間を確認する。治療状況や適切な健康管理がなされているか毎月の精密検査をともない確認するなどと促しているが、これを満たさないと罰則があるわけではない。
今回はというと、詳細はわかっていないが、運行会社は運転手が睡眠時無呼吸症候群だったことは把握した上で、「現在も通院治療を行っている」が「医師の所見により就業可能であることを確認しつつ就業させてきた」と説明している。
あくまで今回の事故と睡眠時無呼吸症候群との因果関係はさだかではないが、少なくとも利用客の不安を少しでも払拭するためには運転手自身の健康管理や治療、そして運転手に対する運行会社の適切な指導と支援がより必要とされるのではないだろうか。