「国立大にゲームコース」どんな可能性が?
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「東京藝大 大学院でゲームコース開設」。ゲームキャスターの岸大河氏に聞いた。
日本で唯一の国立総合芸術大学である東京藝術大学は2019年4月から、大学院・映像研究科に、ゲームを中心とした制作・研究などを行うことができる2年間のゲームコースを新たに開設する。ゲームコースではゲームに関連する様々な講義や演習が行われるほか、修了制作・研究として、学生自らがゲーム作品の制作・研究を行う。
ネット上では、「誰が指導するのか、非常に気になる!」「ゲームは芸術でもあり。スポーツでもあり…」「小学生の息子は早くも、入学目指すと意気込み」といった声が聞かれた。
――このゲームコース開設についてどう思われますか。
フリップには「毎年、eスポーツ元年」と書きました。ちょっと話はズレてしまうんですが、eスポーツ、ゲーム業界は毎年「eスポーツ元年」と呼ばれています。
――どういうことでしょうか。
今年こそはeスポーツが来るぞ、来るぞと言われて、結局は毎年、みなさん皮肉のように「eスポーツ元年」と呼んでいます。これが続けばいいんですけど、そろそろ払拭してほしいなというところです。今回だと東京藝大では開発者を育成するということで、最近ではプロゲーマー育成の専門学校が増えている中で、国立の学校が開発のほうに目を向けているというのは、すごくゲーマーとしてもうれしいし、ゲームに携わる仕事をしている立場でもうれしいと思います。
ただこのeスポーツの競技シーンにおいては、国産のゲームが競技シーンで活躍する――例えば、海外大会で採用されるケースというのは非常に低いんです。ですから、そういったところで、eスポーツの競技シーンで国産のゲームが採用されるように開発をしていくというのもひとつの視点としてはアリなのかなと思います。
――国産のゲームが採用されにくいのはどうしてでしょうか。
対戦ゲームのバランスや考え方というのは、海外の方がたけているというのは正直思います。ただシングルゲーム、「モンスターハンター」のようなマルチゲーム、協力ゲームにおいては、日本は発達しているなという印象があります。
――モンハンは私も好きでやり込んでいるんですけど、やっぱりeスポーツというのは、選手がいて、観客がいて、戦い合うものなので、ゲームのジャンルが違ってきますね。
そうですね、その中でも「スプラトゥーン」というのは、ひとつ大きなきっかけにもなったのかとも思います。任天堂さんがどれだけここから力を入れていくのかを注目しています。
――eスポーツというのは、年齢や障害の有無にかかわらずにできるのがポイントになってきますよね。
そうですね、最近では障害のある方でも使えるようなコントローラーがつくられたり、コントローラーを口にくわえて対戦をして、海外大会で活躍するケースもあります。
――感動を共有できる新たなジャンルが生まれたという形ですね。
そうですね。
■岸大河氏(29)プロフィル
ゲームキャスター。中学時代、サッカーの強豪クラブチームでプロ選手を目指していたが、その後のオンラインゲームと出会いが運命を変えた。プレーヤーとして複数の国内大会、アジア大会でも優勝を経験。2011年に初めて大会の実況をしたことをきっかけに、ゲームキャスターの道を歩んできた。
【the SOCIAL opinionsより】