白菜やネギも… 「ミニ野菜」人気の理由
白菜やネギ、といったさまざまな野菜。普通の大きさに見えるが、実はいずれも「ミニサイズ」が特徴の野菜。今、こうしたミニ野菜の生産が、産地で広がっていて、消費者にも人気だという。その背景とは…。
女性客で賑(にぎ)わう「野菜」が売りのレストラン。この日のメインメニューは、紫色が鮮やかなカブをお酢でフランベし、香ばしく焼いた白身魚と合わせた。身がしまった魚と、きめが細かく柔らかいカブの相性が抜群だという一品。
さらに、甘みが強い白菜を塩だけで味付けた、なめらかなポタージュ。
カブを食べたお客さん「甘くて味が凝縮されている」
この野菜たちには、“ある特徴”があった。
野菜レストランさいとう・齊藤良治シェフ「これが娃々菜(わわさい)で、ミニ野菜ですよね」
通常のサイズより小さい、「ミニ野菜」だ。
野菜レストランさいとう・齊藤良治シェフ「小さいだけあって、大きい物よりは、繊維が柔らかいんですよね」
小さいサイズのため、繊維が細かく、ポタージュの舌触りが、なめらかに仕上がるという。
野菜レストランさいとう・齊藤良治シェフ「(ミニ野菜の)今までなかった食感とか味っていうのは、お客さんも求めてると思うんで」
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今、小さいサイズの「ミニ野菜」の種類が、広がりをみせている。人気の背景を探った。
都内の青果店で並んでいたのは、6種類のミニ野菜。
アグリゲート広報・佐藤麻美さん「小さいタマネギのようなペコロス、あとは小さいにんじんです」
「ミニ野菜」とは、小さいサイズでも食べ頃になるよう品種改良された野菜のこと。ミニトマトに始まり、今は、さまざまな品種の野菜に広がりをみせている。
通常の野菜と比べて、小さいため、お値段も安めだという。人気のワケを聞いた。
アグリゲート広報・佐藤麻美さん「まるごと使い切りたいお客さんとか、一人暮らしの方とか、結構、年配の方にも選んでいただいています」
総務省によると、この15年間で単身世帯は、およそ4割、夫婦のみの世帯はおよそ2割増えている。ひと家族の人数が減ったのに伴い、食べきりサイズの「ミニ野菜」が人気となっている。
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1品種につき、およそ10年もの開発期間がかかるというミニ野菜。育て方も工夫が必要だという。
山形県の農家で話を聞いた。
小林農園・小林太志さん「小さい白菜で、都市部ではだいぶ売れています」
片手で持てるほど小さい白菜。
種を植える間隔を通常の白菜に比べ、半分近くに狭めて植えることで、土の中の栄養を奪い合うことになり、成長力が低下するという。
葉は柔らかく、サラダとしてもいただくことができる。今は、栽培を始めた頃より倍近い値段となる、100円ほどで売れるようになったという。
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宮城県でも、「ミニ野菜」が栽培されている。
JAみやぎ仙南ネギ部会・緑川昭雄さん「これが、『ゆめわらべ』です」
小さいサイズのネギを栽培。一般的な長ネギと比べると、白い部分が短く、太いことがわかる。
JAみやぎ仙南ネギ部会・緑川昭雄さん「買い物カゴに入れても、これくらいになるので、買いやすいサイズだと思います」
コンパクトなため、買い物カゴから、ネギが飛び出さないという。
さらに、コンパクトなためのメリットがあった。
JAみやぎ仙南ネギ部会・緑川昭雄さん「今回の台風23号、24号あたりの風でも倒れなかった品種」
長ネギに比べ、土から出る部分が短いため、強風にも耐えることができ、台風による被害も少なくて済むという。
ミニ野菜は、今後も、さらなる広がりをみせそうだ。